8日投開票の衆院選で多くの政党が消費税の減税を公約に掲げている。2024年10月の前回衆院選で減税を訴えたのは一部の野党にとどまったが、25年7月の参院選はほかの野党にも広がった。今回の衆院選は与党も言及し、高市早苗首相は「悲願」と力を込めるが、確かな財源がなければ実現できない。有権者は各党の考えや論戦をどう見ているのか。
議論の背景にあるのは、長引く物価高だ。
神戸市の25年の平均消費者物価指数は前年と比べて3・1%増えた。4年連続で上昇しており、特に食料品の伸びが目立つ。
そうした状況に有権者の不満が高まる中、減税に触れてこなかったかつての自公連立政権は前回衆院選と昨夏の参院選でいずれも議席が過半数を割った一方、減税を訴えて議席を伸ばした野党は多かった。
今回は各党がこぞって減税を主張しているが、公約では税率や、対象となる商品、減税期間など中身は少しずつ異なっている。
また税収は、飲食料品の税率をゼロにした場合は年間約5兆円、一律5%引き下げると年間約15兆円、一律ゼロにするなら約30兆円-がそれぞれ減る。代替財源を用意しなければ、減税の実現は難しい。
□
有権者はどんな思いで見つめているのか。衆院選が公示された1月27日、街頭で話を聞くと、消費税を巡る議論に関心は高かった。
「物価高の中で『老後難民』みたいになってしまわないか心配だ。切り詰めてもお金は残らない。せめて食料品はゼロにしてほしい」。街頭演説に耳を傾けた尼崎市の主婦(68)は年金生活の苦労を語りつつ「子どもや孫の世代にツケがいかないよう財源を明確にしているところを選びたい」と強調した。
「コンビニのおにぎりが200円を超えて簡単に買えない。税率が下がれば助かる」「物価高で趣味の山登りの回数を減らした。消費税はなくすべきだ」。ほかにも、減税に期待を寄せる声は多かった。
一方で「食料品のみがゼロになれば、外食する人が減ってしまう」と心配する飲食店経営者も。「選挙のために言っているだけじゃないのか」と実現自体に懐疑的な人もいた。
神戸市中央区・JR元町駅の近くで酒店「石原商店」を営む大沼正雄さん(76)は「消費税のせいで毎回レジ打ちが大変で…」と苦笑する。酒類のほか、調味料などの食料品を販売。店内の一角で酒やつまみを楽しめる「角打ち」の営業もしている。
現在店では、消費税を手計算し、請求する。持ち帰りの食料品は8%、店内飲食は10%、酒は酒税に加え消費税10%-と複雑だ。
消費税率について「少しでも下げてほしい」と大沼さん。ここ数年、材料費の値上げに伴い自慢の関東煮や酒、食料品の値上げを重ねてきた。「早く値下げしてお客さんに喜んでもらいたいですよ」。価格の部分にだけ新しい紙を貼って値段を書き換えてきたメニュー表に目をやった。(合田純奈、高田康夫)




















