阪神・淡路大震災30年に合わせ、「『大災害の時代』へ継承すべきこと」をテーマにした「21世紀減災社会シンポジウム」が8日、神戸市中央区の神戸朝日ホールであった。朝日新聞社、ひょうご震災記念21世紀研究機構主催、神戸新聞社共催。基調講演では防災学者が阪神・淡路の教訓を見つめ直し、パネル討論では震災の経験を南海トラフ巨大地震などにどう生かすかについて意見を交わした。能登半島地震の取材を続ける記者の報告もあり、オンラインを含めて約600人が耳を傾けた。(上田勇紀、井上太郎、千葉翔大)
御厨 阪神・淡路大震災の経験や教訓は、能登半島地震などその後の災害に生かされたか。
阪本 阪神・淡路と比べると災害対応のスピードは格段にアップした。国がすぐに支援に駆けつけられるようになった。
だが、被災自治体には災害対応のプロがいない。同じ自治体の中でも過去の経験が受け継がれていない。内閣府は各省庁の寄せ集めで、2年くらいで人が替わる。プロがいないので、同じような失敗を繰り返す課題は残っている。
門脇 EARTH(アース)の活動をしていて、子どもや被災者への「心のケア」という言葉が浸透したと感じる。
阪神・淡路以降に全国に広がり、学校現場に入ると「子どもたちの心のケアをどうしたらいいか」とまず聞かれるようになった。
頼政 阪神・淡路や東日本大震災、熊本地震などをきっかけにボランティアを始めた人に出会う。だが、その人たちの個人的な経験を共有する場が少ないように思う。経験がなかなか「みんなのもの」になっていない。いろんな教訓があるが、災害は生き物だ。形にこだわらず、うまくアレンジしていくために経験を分かち合う場が必要だ。