ドラや太鼓のリズムに合わせて力強く水をかくこぎ手たち=25日午後、相生市の相生湾(撮影・辰巳直之)
ドラや太鼓のリズムに合わせて力強く水をかくこぎ手たち=25日午後、相生市の相生湾(撮影・辰巳直之)

 竜をかたどった木造手こぎ舟のレース「ペーロン競漕」が25日、相生市の相生湾であった。初夏の海と空にこだまするドラと太鼓の音に合わせ、こぎ手らは水しぶきを上げながら湾内を疾駆した。

 西播磨地域の風物詩「相生ペーロン祭」のメイン行事。ペーロンは中国語の「白竜(パイロン)」が語源とされ、江戸期に中国から長崎に伝わった。海の神を鎮める願いが込められ、相生市では1922(大正11)年、播磨造船所(現IHI相生事業所)に勤務していた長崎県出身者が古里をしのんで始めた。

 競漕には、相生市と交流がある長崎市や高知県須崎市を含む兵庫県内外の55チームがエントリー。全長約13メートルの舟に、こぎ手や艇長、ドラ、太鼓、かじ取りの計32人が乗り、300メートルの直線コースを1往復または1往復半して競った。

 こぎ手は力いっぱいに櫂をさばき、抜きつ抜かれつのレースを展開。ドラと太鼓が「ドン、デン、ジャン」のリズムを刻み、詰めかけた観衆らを熱気で包んだ。(橘高 声、佐藤健介)