赤、紫、緑…。色鮮やかな花のブーケと思いきや、よく見るとすべてが野菜。神戸市北区大沢町の夫婦が手がける「野菜ブーケ」だ。見た目を楽しんだ後、おいしく食べられる。独自の栽培方法を開発して野菜を手のひらサイズに抑え、野菜をアートのように見せる展示にも挑戦している。2人は「野菜の新たな価値と魅力を発信したい」と力を込める。(中村有沙)
5月下旬、同町内にある約30アールの農地。農家の鈴木広史さん(50)、彩さん(46)が育てているのは紫色のスナップエンドウ、ころんと丸い黒大根、直径1センチ以下のマイクロトマト…。
どれもスーパーでは見かけない色やサイズだ。
屋号は「ファーマーズヤード」。注文が入ると彩さんが必要な野菜を収穫し、自宅兼工房で広史さんがブーケの形にする。いつでも応じられるよう365日、野菜がある状態を保つ。
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広史さんは2011年、出身地の兵庫県姫路市夢前町で農業を始め、彩さんも翌年から加わった。当初はトマト2千株を栽培していたが、ゲリラ豪雨で全滅し、1品種に頼るのは危険だと多品種栽培に切り替えた。