満州開拓団での体験を語る山下幸雄さん=豊岡市但東町中山
満州開拓団での体験を語る山下幸雄さん=豊岡市但東町中山

 終戦2日後の1945年8月17日、食糧増産のため現豊岡市但東町の旧高橋村から旧満州(中国東北部)に移住し、農業に従事していた開拓団員が、ソ連軍の侵攻や暴徒の襲撃で追い詰められ、集団自決して80年となる。自らも川に身を投げながら、生き残り孤児になった同町の山下幸雄さん(92)は今年、死別したきょうだいらの思い出を手記にまとめた。(阿部江利、大高 碧)

■自慢の兄、愛らしい妹と弟「今も思い起こし涙」

 「高橋村満州開拓団」の集団自決で命を落としたのは298人とされるが、帰国前の収容所でも死者が相次ぎ、現地で346人が亡くなった。今月17日に「語り継ぐ会」や遺族会が主催する追悼の集いが開かれ、僧侶でもある山下さんが満州で落命した全員の名前を読み上げる。