西紀北小周辺で親しまれていた「ビーンズサワー」。透明感のある鮮やかな赤色はロゼワインを思わせる
西紀北小周辺で親しまれていた「ビーンズサワー」。透明感のある鮮やかな赤色はロゼワインを思わせる

 宝石のような鮮やかな赤のドリンクが、再び輝き始めた-。丹波篠山市北部の草山地域でかつて親しまれた清涼飲料「ビーンズサワー」が、本格的に復活しようとしている。地元の西紀北小学校が、地域の事業者や阪神間の大学と連携し、製造・販売へ向けたプロジェクトを進めている。飲料の商品化にとどまらず、大学の専門知が新たな付加価値や活用策ももたらしそうだ。(秋山亮太)

■10年越しの挑戦

 ビーンズサワーは、丹波篠山が誇る黒大豆を煮出し、グラニュー糖やクエン酸を加えたご当地ドリンク。ロゼワインのような透き通る赤色が特徴で、優しい甘さと酸味の絶妙なバランス、ほのかな黒豆の香りが魅力だ。アントシアニンなどが含まれ、健康飲料として脚光を浴びたこともあった。地域の農事組合法人が製造販売していたが、作り手の高齢化などで2009年に製造中止となった。

 西紀北小では、約10年前から復活の試みがあった。地域文化を学ぶ授業で特産の黒豆について学ぶ中、ビーンズサワーを取り上げた。作り手だった人らにレシピを教わり、児童が栽培する豆で再現。校内イベントなどで保護者や地域住民に提供していた。

 その後も何度か児童が手作りして提供したが、コロナ禍を挟んで完全復活はかなわなかった。ところが昨春、話は突然動き出した。宝塚市の甲子園大学や、特産物販売などを手がける地元の「黒豆の館」(丹波篠山市下板井)とつながった。

 同大は近年、旧西紀町で地域連携を進めている。黒豆の館とは授業の講師招聘(しょうへい)やレトルト商品の販売協議など関係を築いてきた。学生が地域食材の活用事例を同館に聞いたことから、ビーンズサワーの名が浮上。同小の岡澤大介教頭が、約10年前の取り組みにも携わっていたことから縁がつながり、「復活大作戦」が昨春始動した。

■レシピを共有

 軸となる同小は3、4年生の総合学習としてプロジェクトを進める。2025年度は、児童がビーンズサワーを知ることからスタート。保護者へのアンケート調査を起点に、地域住民を通じて元作り手にたどり着いた。

 並行して大学生から黒大豆の栄養価を教わったり、黒豆を使った料理を考えたりした。今年2月中旬には小学校でビーンズサワーを試作し、消えつつあったレシピを取り戻して大学と共有した。

 26年度からは製造と販売に向けた活動が本格化する。パッケージの考案や取り組みの発信などを展開。児童も携わっていく。条件が整えば、黒豆の館などで発売する計画だ。

■知見を生かす

 大学が携わることで、ご当地ドリンクの復活以上の広がりも期待できるという。

 甲子園大栄養学科の荒井眞一教授は「栄養価を細かく測定するなど専門知見を生かせば、魅力を一層深められる」と話す。樫野いく子准教授は、植物の黒大豆を活用する地産地消に着目。「環境負荷が少ない食品としての可能性も秘めている」とする。

 食創造学科の井崎信和助教は「昔は煮出した後の豆でみそ造りをしていた。新しい技術やアイデアで商品開発の幅はさらに広がる」という。同大では毎年レトルトカレーを開発している。「大学のノウハウやつながりも生かし、ドリンク復活の活気を地域全体に広げたい」と意気込む。