高市早苗首相はきのう、就任後初の施政方針演説を行った。防衛力の増強やインテリジェンス(情報活動)強化、憲法改正、外国人政策など「高市色」を強く打ち出す内容だった。
前面に掲げたのが経済政策である。税率を上げずとも税収が自然増に向かう「強い経済」を築き、「物価上昇に負けない賃金上昇を実現する」と述べた。
看板とする「責任ある積極財政」を進めるため「過度な緊縮志向と未来への投資不足の流れを断ち切る」とし、積極的な財政出動が必要と訴えた。赤字国債増発への懸念を踏まえ、政府債務残高を対国内総生産(GDP)比で引き下げるとした。
財政の持続可能性や市場の信認に配慮するのは当然だ。厳しく問われるべきは「責任」の中身である。
飲食料品の消費税率を2年限定でゼロにすれば、財政悪化の懸念はさらに高まる。首相は超党派でつくる「国民会議」で夏前には意見集約し、税制改正関連法案の提出を急ぐ考えを示した。税控除と給付を組み合わせて中低所得者を支援する「給付付き税額控除」導入までのつなぎと位置付ける。
実現すれば年5兆円ほどの税収減となる。首相は赤字国債には頼らないとするが、代わりの財源は固まっていない。議論を国民会議に委ねるのは「責任ある」姿勢と言えるのか。
首相は衆院選で国民の信を得たとして「政策を根本的に転換する」と強調した。防衛力強化に向けた安全保障関連3文書の改定前倒し、防衛装備品の輸出を非戦闘目的に限る5類型の撤廃、国家情報局創設を目指すとし、憲法改正の国会発議実現にも改めて意欲を見せた。
だが、これらの政策に関する説明は具体性を欠く。「国論を二分する政策」を数の力で押し切ることは許されない。
「政治とカネ」への言及はわずかで自民党派閥の裏金問題には触れなかった。企業・団体献金の禁止などの抜本改革を急がねば政治不信は繰り返される。
通常国会の冒頭解散で2026年度当初予算案の審議入りは遅れているが、首相には幅広く合意を図る謙虚さと丁寧さを求める。対する野党も責任の重さを自覚してほしい。
























