スポーツや文化芸術活動を通じて多様性や平和の尊さを願う「スポーツ・オブ・ハート in 2025 大阪・関西万博」が26日から3日間、万博会場内のEXPOアリーナ「Matsuri」で開催される。盛りだくさんの体験型イベントが用意され、応援団長の高橋尚子さん、山本篤さん、はるな愛さんらゲスト陣も多彩。なかでも注目されるのが27日開催の「ダイバーシティファッションショー」だ。どんな内容なのか。
■多彩なゲストが出演し心温まる3日間
まもなくフィナーレを迎える大阪・関西万博では連日、様々なイベントが実施されている。この「スポーツ・オブ・ハート in 2025 大阪・関西万博」もそれらに負けず劣らず、心温まる3日間になりそうだ。
一般社団法人「スポーツ・オブ・ハート」(東京都渋谷区、廣道純代表理事)は2012年にスタート。障がいのあるなしにかかわらず、みんなで一緒に楽しめる「スポーツ×文化」の祭典を数多く手掛けてきた。
■国籍や人種、性別の違いを乗り越え
もともとはパラリピアンの呼びかけにより始まったもので、その趣旨に賛同したスポーツ選手やミュージシャンや文化人が参加。障がい者も健常者も国籍も人種、性別の枠を超え、差別や偏見のない社会を実現することを目的に活動している。
今回のイベントは大阪・関西万博のアクションプランに選ばれたこともあり、主宰する「スポーツ・オブ・ハート」にとってもその集大成の位置づけ。3日間にわたって充実したプログラムを準備しており、その中には車いすバスケや車いすテニスの体験コーナー、パワーリフティングやドローンサッカー、また現役の競輪選手による競輪体験、さらにアートワークショップや書道の時間も用意されている。
ゲストも多彩だ。五輪金メダリストの高橋尚子さんをはじめ、パラリンピアンの山本篤さん、はるな愛さん、おじゃすさん、安岡チョークさんら各ジャンルで活躍する方々がステージに立ち、トークショーやスペシャルライブなどで盛り上げる。
■新庄監督と交流のあるデザイナーが演出
そんな中、目玉となるのが27日に実施される「ダイバーシティファッションショー」だ。これは年齢、性別、国籍、障がいの有無を問わず、健常者も障がい者も分け隔てなくアーティストやアスリート、モデルらが共演するファッションショー。これまでも沖縄、広島、長崎、函館などで実施され、好評を博してきた。
手がけているのはファッションブランド「tenbo」(千葉県木更津市)代表の鶴田能史さん。日本ハムの新庄剛志監督と交流があり、あの大胆な襟付きユニホームのデザイナーとしても知られる。
今回のファッションショーに先立ち、7月には大阪市内で全国から集まったモデル未経験者のオーディションを実施。選ばれた方々はtenbo専属モデルやはるな愛さんらとともに鶴田さんがデザインした色彩豊かな衣装でランウェイを歩く。
■ファッションで「平和の尊さを発信できれば」
音楽は今年のMLB日本開幕シリーズの東京ドームで演奏した新進気鋭のヴァイオリニスト竜馬さんが生演奏。鶴田さんは「ファッションで多様性を表現し、平和の尊さを発信できればと考えています。コンセプトは、国籍や性別、障害の有無を問わず、誰もがおしゃれを楽しめること。特に平和にこだわています。それは万博のテーマでもある」と話す。
だれもが穏やかに暮らせる平和な社会への思いは強く、会社を設立した2015年には戦後70年にちなんだファッションショー「1945」を東京で開催。戦後80年となる今年、万博会場で開催するにあたっては「ファッションデザイナーとして平和を願うファッションショーをプロデュースさせていただき、光栄に思うとともに責任も感じます。200名の応募者の中から19名のモデルが決定しました。全国から参加してイベントを盛り上げてくださいます。楽しみにしていてください」と意気込んでいる。
また、東京パラリンピック開会式で布袋寅泰さんと共演して話題になった全盲のギタリスト、田川ヒロアキさんのライブも見どころのひとつ。こちらの衣装も鶴田さんが担当し、田川さんが生まれ育った故郷、山口・下関の海をイメージした「Ocean」がコンセプトになっている。
団体、企業、省庁もバックアップし「すべての人たちが共に分かち合い心豊かに暮らせるニッポン」を目指すプロジェクト。世代も国境も越えて、誰もが主役になれる特別な3日間となりそうだ。
(まいどなニュース特約・山本 智行)