毎日ラーメンを食べる生活は寿命を縮める? ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)
毎日ラーメンを食べる生活は寿命を縮める? ※画像はイメージです(naka/stock.adobe.com)

会社で新規営業を担当しているAさんは、毎日確実に契約を勝ち取っているトップセールスでした。彼が仕事を頑張れる理由のひとつに、自らに課したマイルールがあります。それは「契約が取れた日はラーメンを食べていい」というものです。

ラーメンが大好きなAさんは、ラーメンを食べるために必死に仕事をしているのです。この結果として、毎日多くの企業を訪ねて契約を取りつつ各地のラーメンを食べ歩くことを生きがいとしていました。

そして会社からトップセールス表彰を受けるときも、この話をしてその場を沸かせていました。しかしそんな彼はある日の朝、ショッキングなニュースを見ます。なんとラーメンを週3回以上食べると、死亡リスクが1.5倍になるという研究結果が、山形大学と山形県立米沢栄養大学の共同研究チームから発表されたのです。

Aさんは確かにラーメンが大好きで毎日食べているけれど、不健康になりたいとは考えていません。しかし健康のためにラーメンを控えたら仕事のパフォーマンスにも影響が出そうだと考えます。本当にラーメンを週3回以上食べると死亡リスクは高まってしまうのでしょうか。

この研究の詳しい背景や結果について、研究を担当した山形大学医学部の今田恒夫教授に話を聞きました。

■ラーメンは悪者じゃない?カギは“食べ方”にあり

ーこの研究を始めようと思われたきっかけを教えてください。

山形市はラーメン消費量日本一となり盛り上がっていますが、食べ過ぎの影響が少し心配だったので研究を始めました。

ー調査結果に「70歳未満・男性・スープを半分以上飲む人・飲酒習慣あり」でリスクが高いと記載がありますが、これはなぜだと考えられますか?

週3回以上ラーメンを食べていても、70歳以上、女性、非飲酒者、スープを半分以上残す人では死亡リスクは上がっていないことから、ラーメンそのものが悪いのではないと考えています。

若い人や男性は1回で食べる量が多いこと(大盛やライスを付けがち)、飲酒後に食べる〆のラーメンも食べ過ぎになりやすい、スープを半分以上飲むことは塩分過剰になりやすいなど、1杯のラーメンの食べ方に問題があると考えています。

ーラーメンで特に注意すべき成分は塩分でしょうか?脂質や炭水化物についても影響があるのでしょうか?

ラーメンを週3回以上食べる人は、高血圧、糖尿病、肥満が多いようです。塩分が一番ですが、同時に脂質や炭水化物によるカロリーのとりすぎも問題だと思います。

ー「週1~2回で最もリスクが低い傾向」と出ていますが、これは“ちょうどよい頻度”と考えてよいですか?

死亡リスクが最も低いので、「長生きする」ためにちょうど良い頻度だと考えています。

ーラーメン好きが健康的に楽しむために、実際にできる工夫があれば教えてください。

塩分やカロリーを取り過ぎない、ほどよい頻度と量にするのが良いと思います。どうしてもたくさん食べたい人は、スープは半分以上残す、その前後の食事を軽めにして、一日の塩分・カロリーのバランスをとる、塩分を排泄する作用のある緑黄色野菜もとる、などが良いと思います。

ー最後に、ラーメンを愛する人へ「健康とおいしさを両立するためのメッセージ」をお願いします。

ラーメンが体に良いか悪いかは、食べ方次第です。食べ方に注意して、おいしいラーメンをたくさん楽しみましょう。

◆今田・恒夫(こんた・つねお)
山形大学Well-Being研究所 山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生学・衛生学講座教授 内科・腎臓・透析・リウマチの専門医資格を所有。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)