夢で一緒に冒険ーー困難を乗り越え家族になった桜ちゃん(画像提供:恵美子with三毛猫桜 時々旦那さん)
夢で一緒に冒険ーー困難を乗り越え家族になった桜ちゃん(画像提供:恵美子with三毛猫桜 時々旦那さん)

今から4年前、三毛猫の「桜」ちゃん(女の子)は、“命のリレー”を経て現在の飼い主さんのもとへやってきました。

「当時の仕事先で一緒に働いていたWさんのご近所に住まわれているRさんが自宅の庭に子猫がいるのを見つけたんです。それが、桜でした。しばらく様子を見守っていたそうですが、生後推定3カ月ほどでとても体が小さく、カラスに突つかれていたため保護。当初、Rさんは自分の家で迎え入れるつもりでしたが、同居犬が高齢で桜がじゃれつくと転倒してしまう状態だったため、やむを得ず里親さんを探すことになったんです」

Rさんから桜の里親を探していると聞いたWさんは、飼い主さんに連絡をくれました。そして、送られてきた写真を見てーー飼い主さんは「運命だ」と直感したといいます。

「私が独身時代、夢の中で一緒に“青い小鳥”を探す冒険をした尻尾の短い三毛猫にそっくりだったんです。『この子を迎えなければきっと後悔する』と思い、夫に相談しました。あまり乗り気ではなかった夫を何とか説得し、生後6カ月のときに桜を迎えることにしました。実際に桜と対面した夫は、そのかわいらしさにすっかりメロメロになってくれて、安心しました」

■「このままでは命にかかわる…」重篤な病の発見

お迎え初日、桜ちゃんは環境に慣れず、不安げにケージの隅に身を寄せていたそうです。飼い主さんは安心できる空間を作り、少しずつ生活に馴染むよう工夫しました。

「少しでも落ち着いてもらうため、ケージの上から毛布をかけて暗がりを作りました。まずは環境に慣れてもらうことが第一だと思ったんです。幸い、桜はきちんとご飯を食べてくれて、トイレもすぐに使ってくれました。『シャーシャー』と威嚇する日々は続きましたが、1週間を過ぎる頃には『ケージから出して』とアピールするようになりました」

順調に慣れてきたように見えた矢先、検診で病気が見つかりました。すぐに治療が必要と診断されたのです。

「初期検診では、猫白血病や猫エイズは陰性だったのですが、重度の貧血であることが判明。すぐに治療を始めないと命にかかわる深刻な状態であることがわかったんです。それからは病院の休診日以外、毎日通院して注射をしてもらい、1日2回の投薬を続けました。少しずつ快方に向かい、半年後に寛解したときはホッとしたのを覚えています。また、4月生まれにちなんで、『桜』と命名しました。その後も、慎重に健康状態を見守りながら過ごし、今は健康そのものです」

■甘えん坊の“ママっ子”になった桜ちゃん

今、桜ちゃんは元気いっぱいの4歳。犬派だった夫も、すっかり猫好きになりました。飼い主さんには甘えん坊な一面を見せ、日常にたくさんの癒やしをもたらしているといいます。

「お転婆でツンデレ女子へと成長しました。桜のお世話は主に私が担当しているからか、よく私に甘えてきます。膝やお腹の上に乗って眠ったり、行く先々を後追いしたりー。ご飯のおねだりをするときは肩に飛び乗って来ます。私の姿が見えなくなると、『ニャーニャー』と鳴きながら探し回ることも。夫には、ご飯をねだるときしか甘えず、後追いはしません」

子猫の頃は、病気に苦しんだ桜ちゃん。今では家の中を走り回るほど元気になり、飼い主さんにとって何よりも大切な存在です。

「桜と過ごした4年を振り返ったとき、やはり子猫のときに通院が続いたころを思い出します。病院では『このままでは成猫まで生きられません』と言われるほど貧血がひどかったんです。本当に心配でたまりませんでした。それが、今では家中走り回って元気に遊ぶように。桜には『お転婆で甘えん坊な桜が大好きだよ! これからもお互い健康で1日でも長く一緒にいようね』と伝えたいです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)