職場のコミュニケーションが、対面中心からチャットなどテキストベースのやり取りへと広がり、絵文字やスタンプの利用も一般化しているといいます。SHE株式会社(東京都港区)が実施した「職場コミュニケーションにおける絵文字利用」に関する意識調査によると、職場での絵文字利用について、実態・評価の両面で賛否が分かれる結果になりました。
調査は、全国の20~59歳の有職者400人(男女均等)を対象として、2025年8月にインターネットで実施されました。
その結果、職場で絵文字を「よく使う/ときどき使う」と答えた人は全体の42%、一方で「あまり使わない/まったく使わない」と答えた人は58%にのぼり、利用実態はほぼ半々に分かれる結果となりました。
また、20代女性の62%、30代女性の66%が「絵文字を使うのは好ましい」と回答したのに対して、50代男女では76%が「好ましくない」と回答しており、「職場で絵文字を積極的に使いたい派」と「ビジネスシーンで絵文字は不要だと考える派」が同じ組織内で共存している構図が明らかになり、日常のやり取りで摩擦や誤解を生む要因になっている可能性が示されました。
続けて、「職場で絵文字を使う場面」について尋ねたところ、「社内チャット」(152人)、「社内メール」(58人)が上位となり、社外に対しては、フォーマルさを優先し絵文字を控える傾向が強いことがうかがえた一方で、「絵文字は使わない」(190人)という人が最多となりました。
また、「よく使う絵文字」としては、「🙏(感謝・お願い)」(125人)、「🙇(謝罪・丁寧さ)」(120人)、「😊(スマイル)」(103人)が上位となり、職場における絵文字利用は”カジュアルな装飾”というよりも、“コミュニケーションを補う表現”として根付いていることが明らかになりました。
さらに、職場のコミュニケーションにおいて「相手別・社内外・チーム文化によって表現を使い分けることがありますか」という質問には、「年下・親しい人には使う」(140人)、「社外は句点で締める」(131人)、「自身の所属するチームや文化で変える」(113人)など、状況ごとにルールを切り替えている実態が浮き彫りになりました。
特に20~30代女性では「社外は句点で締める」「自身の所属するチームや文化で変える」などの項目で多くなり、“上司世代”と“後輩世代”の間に立つポジションならではの調整役を担っている様子がうかがえます。
一方で、50代男性では「誰に対しても使い分けない」と回答した割合が比較的多く、表現の切り替えよりも一貫したスタイルを貫く傾向が見られました。
最後に、「絵文字や句点など、表現に気を使いすぎて疲れたことはありますか」と聞いたところ、全体の45%が「ある」と回答。
性年代別に見ると、30~50代の女性では過半数が疲れを感じている一方で、男性はいずれの世代でも3~4割台にとどまり、女性と比べると疲労感は低いことがわかりました。
なお、職場のチャットで「了解」「いいね」を示す「“👍”だけで返信されたときの印象」について尋ねたところ、「特に気にならない/簡潔で良い」が51%、「冷たく感じる/失礼」が25%、「問題はないが、できれば言葉も添えてほしい」が20%という結果になりました。
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【出典】
▽SHE株式会社 調べ