小学生の絵の具セット ※画像はイメージです(リリ/stock.adobe.com)
小学生の絵の具セット ※画像はイメージです(リリ/stock.adobe.com)

「『女の子の絵の具セットだよ』ってお友だちに言われないかな…」

「どうぶつの森」がデザインされた絵の具セットを選んだ男子小学生が、不安そうに登校していった--。そんなエピソードがThreadsに投稿され、注目を集めています。投稿したのは、少年の母親・マツナガ アユミさん(@koubou_hanaokina)。
「大丈夫だよって言ってあげてください」という母の呼びかけに、「大丈夫だよ!今の子って柔軟ですよ!」「我が家の小3男の子も、あつ森のこれがいい!と選んで全く同じもの買いました」など、共感や励ましの声が相次ぎ、コメントは600件を超えました。

中には、「大丈夫!今の子たちはみんなとっくに令和アプデ済みキッズです!親の私達が思うよりずっと自由で冷静でフラットで、人の持ち物をあれこれ言うような子はホントいないです」と、現代の小学生の“令和価値観”を語る声も届いています。

「この絵の具セットは息子自身が選びました。息子が好きな元気で優しいカラーに、どうぶつの森のイラスト、ゴールドの葉っぱチャームがついていて、気に入っていました」

小学校に上がるタイミングで必要になる学用品の準備。文房具やポーチなどが並ぶ売り場では、キャラクターものやカラフルなデザインも多い一方で、男の子向けのコーナーはデザインのバリエーションが少ないことに、マツナガさんは違和感を覚えたといいます。

「男子用品は文具や袋類、傘、手袋に至るまで、色もデザインも選択肢の幅が狭いんです。幼稚園までは楽しく通園グッズを選んでいたのに、小学生になると彼ら用の棚は小さくなり、カラーはほとんど黒か青。デザインはポケモンばかり-。息子はつまらなそうな顔をしていて、可哀想だな…と。この頃から、男性は日用品のお買い物の楽しみが減るんだなと思いました」

そんな中で見つけた「どうぶつの森」の絵の具セット。色やデザインにとらわれず、自分の“好き”を選んだ息子さんの姿を、マツナガさんは誇らしく感じたといいます。

しかし、いざ登校の日を迎えると、息子さんは不安げな表情を浮かべていたそうです。

「好きで選んだんだから自信を持って使えばいいのに…と感じました。『大丈夫、たぬきちも男だ』と伝えて送り出しました」

絵の具セットには、「どうぶつの森」に登場するキャラクター・たぬきちの顔が描かれています。母の一言に背中を押され、息子さんは絵の具セットを抱えて学校へ向かったといいます。

その後、息子さんが話してくれたクラスの様子によると、同じ絵の具セットを選んでいたのは女子が4人、男子は自身を含めて2人だけ。それでもクラスメイトから揶揄されることはなく、現在も愛用しているそうです。

今回の体験を通して、子どもの「好き」という気持ちをどう育むか、マツナガさんは親として改めて考えるきっかけになったといいます。

「親として大切にしたいのは、子どもに向けて『あなたが自分の“好き”を見つけるために重ねる小さな選択は、あなたのアイデンティティを組み立てる作業なんだよ』と伝えることです。大人でも、大好きなものだからと何でもかんでも職場に持って行けるかと問われれば、そんなことはありません。『TPOをわきまえる』という感覚があるからです。自分の“好き”なものを選んで、さらに身につけるかどうかを判断することは、時に煩わしくて悩ましい。でもそれも、自分の軸を見つけるために必要なことのひとつなんだよ、と伝えたいです」