保護された推定3カ月のキジ猫2匹。「他の柄の子がいい」と言われたという(れんげさん提供)
保護された推定3カ月のキジ猫2匹。「他の柄の子がいい」と言われたという(れんげさん提供)

千葉県で保護猫活動を行うボランティア「れんげ」さん(@8rjXhLaRHFwK9l2)の投稿をきっかけに、「猫の柄で選ぶ・選ばない」をめぐる議論がX(旧Twitter)上で広がっています。

さらに、その投稿を引用した「7匹のキジトラ猫」と暮らす飼い主・はるとさん(@tomeji1106)のつぶやきも大きな反響を呼びました。

「ほんまにキジが人気ないのが全く理解できひんねんけど 絶対1番可愛いと思ってる」--2人の思いは多くの猫好きの共感を集めています。

■「柄で断られるなんて」 れんげさんの驚きと悲しみ

「♀の子猫の里親になりたいから保護したら教えてと言われていたので、人馴れバッチリなこの子達の写真を送ったら『他の柄の子がいい』と言われた…」

投稿したのは、千葉県でTNR(捕獲・不妊去勢・元の場所に戻す)活動などに取り組む保護猫ボランティアのれんげさん。写真には、キジトラの「さと」ちゃんと、後ろ脚の一部を欠損しながらも元気に走り回るキジ白の「リン」ちゃんの姿がありました。

「色柄で選んで保護したことは一度もないのに、『他の柄がいい』と言われて本当に驚きました。これまでにも写真を見せたあとで“今回は見送ります”と言われたことがあり、やはり毛色で決める人がいるのか…と悲しくなりました」

■「猫は柄を選んで生まれてこない」

れんげさんが伝えたいのは、「命は見た目では選べない」ということ。

「キジトラやキジ白は心を開くまでに時間がかかりますが、一度信頼するととても甘えん坊になります。さとは穏やかで空気が読める子、リンはやんちゃで無邪気。脚の欠損も気にならないほど元気なんです」

投稿には、「柄で選ぶなんて信じられない」「うちのキジ白も世界一かわいい!」など、共感と応援の声が相次ぎました。

「猫は柄を選んで生まれてきたわけではありません。命と向き合うなら、色ではなく“その子”を見てほしいもし柄で選ぶなら、それは生き物ではなく人形でもいいと思います」

■「うちはキジトラばっかり!」 はるとさんの引用ポストが話題に

この投稿に共感し、引用リポストしたのが7匹のキジトラと暮らすはるとさん。

「れんげさんの投稿を見て、“柄が原因で断られた”という内容に腹が立ちました。うちはキジトラばっかりですがって気持ちでポストしました」

はるとさんが暮らすのは、まいたけ・えのき・しめじ(5歳)、ちゃちゃ丸(2歳)、がじゅまる(5歳)、トメ次(10歳)、はちべえ(3歳)の“キジトラ軍団”。投稿には「うちのキジトラも見て!」「キジトラが一番好き!」といった写真付きコメントが殺到しました。

■「野生味が魅力。もともと猫の原点の柄」

「もともとはキジトラ柄しかいなかったと読んだことがあります。ヤマネコが祖先だから、野生味が残っているところが魅力だと思うんです」

「キジトラは…とか…サビ柄は…ってまあ気持ちはわからないでもないんです。私がキジトラに魅力を感じるように白い子がいいとか茶トラがいいとかもちろんあると思います。人間でもこういう顔の人がタイプとかあるからそれと一緒で…だからある程度は仕方ない部分もあるかなとも思います」

7匹と暮らす日々を「猫がいる生活は『幸せ』そのもの」と語るはるとさん。投稿の反響は過去最高で、「実はキジトラ、1番人気なのでは?」と笑います。

■「見た目」ではなく「出会い」でつながる命

れんげさんと、はるとさん。2人の投稿は偶然つながり、SNS上で「キジトラ可愛い!」「猫は柄じゃない」といった言葉があふれました。

保護猫活動の現場では、見た目で譲渡が決まるケースも少なくありません。しかし、2人の言葉はそんな風潮に一石を投じています。

「柄なんて関係ない。どの子も“世界に一つの命”」

SNSの画面越しに、2匹の子猫と7匹のキジトラたちは今日も穏やかに、幸せを運んでいます。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)