パパの顔にのってカメラを見つめるステラちゃん(画像提供:葉山あかね 2y 双子さん)
パパの顔にのってカメラを見つめるステラちゃん(画像提供:葉山あかね 2y 双子さん)

保育園からの帰り道、突然聞こえてきた子猫の鳴き声。生後4カ月の女の子の子猫「ステラ」ちゃんは、小さな体で必死に助けを求めていました。その瞬間は、Xユーザー・葉山あかね 2y 双子さん(@naachapopy)にとってまさに青天の霹靂となる出会いだったのです。

■双子の娘たちと共に保護した日

2025年5月28日、保育園からの帰り道に「ミャーミャー」という声が聞こえ、飼い主さんと双子の娘さんたちが探しに行くと、生垣で小さく震える子猫がいました。

「2歳7カ月の双子の娘が『がんばれー!』と声をかける中、近くは大通りでヒヤヒヤしながら捕獲しました。周りの方も子どもを見守ってくださったおかげで無事に保護できました。あまりにかわいくて、迷子猫だと思ったんです。『早く家族に生きて帰さなければ』という思いで動物病院に連絡し、『できることを全てしてください。お金は私が出します』と伝えて処置をお願いしました」

双子の娘さんには「パパとママがいなくなっちゃったから、探してあげるまでおうちで面倒を見ようね」と伝え、家族全員で世話を始めました。

その日のうちに夫婦で名前を考えました。

「双子の娘たちの名前がお花に由来していて『光』の意味もあることから、ラテン語で『輝く存在・光る星』という意味の『ステラ』を思いつきました。夫も『自分も今その名前を言おうと思っていた』と言い、すぐに決まりました」

■運命を感じたお迎えの記念日

その後、ステラちゃんの家族を探すため周辺に聞き込みをしました。

「写真を見せると『この猫に似た野良猫がたくさんいる。きっと親猫だろう』と言われ、飼い猫だと思っていたので驚きました」

飼い主さん夫婦はもともとウサギを飼っており、ウサギを通じて出会った縁のある2人。今も「リンク」という名のウサギと、多頭飼育崩壊から救った「オト」と暮らしています。

「ステラのことを調べたり、聞き込みをしたりと1週間ほど過ごしました。そして2018年6月4日に虹の橋を渡った長女ウサギ『ひな』の誕生日に、ステラを“お迎え記念日”として迎えました。長女を失った悲しみが大きかった中、『ひながステラを授けてくれたのかもしれない』と感じました」

こうして当時生後5週間ほどだったステラちゃんは、正式に家族の一員になりました。

■甘えん坊の性格と、子どもたちとの関わり

先住のウサギたちとの暮らしも工夫が必要でした。

「リンクはおだやかな性格なので気にしませんが、オトちゃんは敏感なので怯えてしまいます。ステラとはあまり遭遇させないようにしています」

当時、飼い主さん自身は育児や仕事に追われ、気持ちがすり減っていた時期でもありました。

「そんな時、人懐っこくて私に甘えてきてくれるステラが心を満たしてくれました。『やってあげる』ではなく『やってもらえる』という気持ちに気づかされ、愛される喜びを教えてくれたんです。寝不足が続く日々でも、ステラが甘えてくれる夜はとても嬉しい思い出になりました」

双子の娘さんたちにとってもステラちゃんは特別な存在です。

「ステラが走ると子どもたちも追いかけっこをして、一緒に遊びます。『ごはんちゅくる!』といってチュールを出してくれたり、保育園でも『ステラは赤ちゃんだからやさしくするんだよ』と先生に話しているそうです」

■ステラちゃんが与えてくれた光

現在のステラちゃんは、すっかり成長しました。

「甘えん坊で、人がケージ近くを通るとゴロゴロ言いながら甘えます。娘たちが立つと、後ろ姿に手や足を伸ばして捕まえようとする仕草がとてもかわいいです。賢くてすぐにトイレを覚え、子どもたちとの距離感もわかっているように見えます」

ただ、新しい命を迎えたことで葛藤もありました。

「育児や仕事、ボランティア、そして先住ウサギたちの世話に追われる中で、『ウサギたちを差し置いて猫を迎えていいのか』と悩みました。でも、ステラを愛することでウサギたちにもより一層愛情を注げるようになったと感じています」

飼い主さんにとって、ステラちゃんは大きな力を与えてくれる存在です。

「ステラは家族に光を差してくれる存在。私が頑張れるのも、惜しみない愛情を注いでくれるステラのおかげです。本当にありがとうと伝えたいです」

小さな生垣で震えていたステラちゃん。今では家族の中心であり、光を届けてくれる大切な存在になりました。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)