女の子なのにイケニャンな表情も見せてくれる、サラミちゃん
女の子なのにイケニャンな表情も見せてくれる、サラミちゃん

気が強いわりに、飼い主さんが話しかけると必ず返事をしてくれ、姿が見えない時には鳴いてアピールするサビ猫のサラミちゃんは、元保護猫。

母猫と共に保護され、保護猫カフェへ。その後、飼い主さん(@sarami_0724)と出会い、第2のニャン生を満喫し始めました。

■「ガリガリな野良猫の親子を保護してほしい」との緊急レスキュー

2021年の夏、「ガリガリな野良猫の保護をしてほしい」という依頼を受け、現場へ駆けつけた保護主さんはサラミちゃん親子と出会いました。

早速、捕獲を開始すると、サラミちゃんたち子猫はすぐに保護できたものの、母猫の捕獲は難航…。そこで、保護主さんはサラミちゃんを使って母猫の気を惹くことに。この作戦は見事、成功し、母猫も無事に保護することができました。

「母猫は保護時、『あんたのせいで捕獲された!』と怒っているかのように、サラミちゃんをバシバシ叩いていたそうです(笑)」

その後、母猫は保護主さん宅で暮らすことに。サラミちゃんたち子猫は体調が回復した後、保護猫カフェで里親との出会いを待つことになりました。

■“猫が苦手で人間好きな子猫”に心を奪われてお迎えを決意

飼い主さんとサラミちゃんが出会ったのは、2022年4月のこと。当時、1歳弱だったサラミちゃんはあまり猫が好きではなく、保護猫カフェでは他の猫たちと離れて過ごしていました。

「通常、猫は見つめ合うと喧嘩になるので目をそらします。でも、サラミは気が強いのか、他の猫が近づくと、ずっと睨みつけていました」

しかし、人間に対する接し方は対照的。名前を呼ばれたり触られたりすると、体をクネクネさせて嬉しさをアピール。抱っこも大好きで、おもちゃを運んできて「遊んで」とおねだりもしてくれたのです。

そうした個性に心奪われ、飼い主さんはお迎えを決意。初日は緊張して硬直していたものの、短期間で保護主さんから保護猫カフェへ行くなど、環境の変化を経験していたからか、翌日からは自由に家の中を冒険。比較的早く、飼い主さんや家に慣れてくれました。

「子猫の頃に親と離れ離れになったので、私のことを親と思っているみたい。ずっと後をついてくるし、寝転ぶとフミフミしてくれる。ご飯を食べ終わると、報告しに来てもくれるんです」

■弟分として迎えた猫がFIPに… 穏やかな日常を取り戻すまでの苦悩

お迎え当初は警戒心からか、あまり鳴かなかったサラミちゃん。しかし、今では構ってほしい時には鳴き続け、飼い主さんに気持ちをアピールします。

「名前を呼ばれると嬉しくなって、クネクネします。テンションが上がると気持ちを落ち着かせるために爪とぎに走っていき、バリバリするところもかわいいです」

なお、飼い主さんは2023年3月に弟にゃんこのナッツくんをお迎えしました。ナッツくんは、サラミちゃんを救った保護主さんに保護をされた子。保護主さんからおすすめされ、保護猫カフェ経由でお迎えしました。

保護猫カフェでは他の猫に強気な態度をとっていたサラミちゃんですが、ナッツくんのことは「手のかかる弟」と認識したのか、面倒を見てくれているそうです。

ただ、穏やかな今に至るまでには予期せぬ苦悩が…。実はナッツくん、お迎えから1カ月ほど経った頃、食欲不振やお腹の膨みなどの症状が見られたそう。心配になり、動物病院へ連れて行くと、FIP(猫伝染性腹膜炎)と診断されました。

FIP(猫伝染性腹膜炎)は、猫の体内にあるコロナウイルスが何らかの原因で変異し、発症します。近ごろは完治や寛解が望める治療薬が登場し、「闘える病気」と言われるようになってきていますが、かつては致死率が高い不治の病と言われていました。

「当時、FIPの治療にはペット保険が使えず、『治療しても完治する保証はない』とも言われました。でも、少しでも可能性があるのなら…と思い、治療を決意したんです」

近所ではFIPの治療ができる病院がなかったため、飼い主さんは保護主さんに紹介してもらった他県の病院へ通院。3カ月の間、毎日、治療薬を飲ませ、経過観察しました。

「とても臆病な性格なので毎回逃げ回り、薬を飲ませるのに30~60分ぐらいかかって、すごく大変でした」

適切な治療を続けたことにより、ナッツくんのFIPは完治。家族は、日常を取り戻すことができました。

異なる命の危機に瀕してきたナッツくんと、サラミちゃん。それぞれの過去を知ると、2匹が寄り添い合うツーショットがより尊く見えます。

頑張り屋な2匹と猫愛が深い飼い主さんの穏やかな日々が、これからも長く続きますように。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)