関節リウマチの方には最近のライターは硬すぎるようだ(ケンさん提供)
関節リウマチの方には最近のライターは硬すぎるようだ(ケンさん提供)

昔からの習慣はそう簡単には変えられませんが、変えないことでリスクを伴う可能性もあるようです。ケアマネージャー(以下ケアマネ)でもある漫画家・ケンさんの作品『故人への想いとリスク』では、ケアマネの日々が描かれています。

ケアマネが訪れた家に住む90歳の女性は、軽度認知障害を持っています。女性は「線香の火を付けるために、硬くないライターを買ってきて欲しい」とケアマネに頼みました。しかし仏壇はタンス上の不安定な位置で、そのうえ畳には何箇所も焦げた跡が残っていたのです。

線香を使い続けるのは危険だと考えたケアマネは、安全な「LEDロウソクにしませんか?」と提案しますが、女性は「電気やと気持ちが入らんやろ?」と聞く耳を持ちません。「やっぱり本物の線香で毎日参らないと」と女性が訴えていたとき、ケアマネはふと女性の主人の遺影と目が合いました。

そこでケアマネは「ご主人も『電気でいーよー』って顔されてますね」と話すと、女性は「それどんな顔よ」と笑いながら返答しました。しかし「貰いもんの長い線香もあるんやけど…」と、女性はロウソクや線香を諦めきれない様子でした。

同作はX(旧Twitter)に投稿されると「親もなかなか変えられなくて困っている」「うちはLEDロウソクに火をつけられた」など、さまざまな実体験や感想が寄せられています。そこで作者のケンさんに同作について話を聞きました。

■仏間の問題はどこの家でも起こり得る

ー近年有名人でも仏壇が原因の火災を耳にしますが、この事例以外にも危うい仏壇管理のお宅は多かったのでしょうか。

仏間のあるお宅はどこもリスクはあると思います。認知機能、視力、記憶力の低下で火を取り扱う訳ですから構造上というより加齢に伴いどこのお宅も仏間管理が難しくなっていく、と言った感じでしょうか。

あとはリフォームや引越しで仏壇をリサイズされてタンスの上に置く場合(漫画と同じ)の方もチラホラいらっしゃいます。拝むだけなら良いんですが習慣としてやはり線香を使われる方が多いように感じます。

ーこのあと、今回の高齢者はLEDロウソクに切り替えられましたか。

この漫画はフィクションなのでご想像にお任せします。

ーコメントにはさまざまな実例があがっていました。

有名人の失火をなぞらえてリプされる方、実家がこれだった…などの反応が多かったなぁといった印象です。全国的にどこでもある事で古い習慣というのは簡単に変えられないんだなぁと思いました。

(海川 まこと/漫画収集家)