学生時代を一緒に過ごした「学校の机」には多くの思い出が詰まっているものです。みりこさんが投稿した作品『誰かの卒業』は、そんな机の思い出を描いています。
舞台は高校2年生の冬、移動教室でたまたま座った「誰のものでもない机」。この机に作者が何気なくイラストを落書きしたことから物語が始まります。翌週、再びその席に座ると、そこには見知らぬ誰かからの「返事」が描かれていました。
それから毎週、机の上で繰り返される顔も名前も知らない相手とのイラスト交流が始まります。しかしある日、机に描かれた「今日が最後の授業でした。楽しかったよ!ありがとう」というメッセージによって、この交流の終わりを告げられます。作者はメッセージの返事として「卒業おめでとうございます。私もたのしかったです!」と机に最後の落書きをするのでした。
ほんのり寂しさを感じる同作について、作者のみりこさんに詳しく話を聞きました。
■SNS時代の今だからこそ描きたかった、もうひとつの「卒業」
ーこの出来事を漫画として描こうと思われた一番のきっかけは何でしたか?
卒業がテーマの漫画コンテストへ応募しようと思ったのがまず第一のきっかけです。しかし、自分の卒業について思い起こしてみると、携帯やSNSの普及で友達にはいつでも連絡を取れるし、あまり寂しさや特別感を感じていませんでした。しかしこの机を通しての出会いと別れも一種の「卒業」であり、個人的には忘れられないエピソードだったので、改めて漫画の形にいたしました。
ー最後のメッセージを見た時の正直な感情を教えていただけますか?
率直にショックでした。まず、漠然と同年代と思っており、年上だと思っていなかったので衝撃でした。3年生は受験準備で休みに入ってしまいますが、当時2年生の私はその後もまだ授業が続いていて、もうこのやり取りが更新されないんだ、と寂しい気持ちでいっぱいでした。
ー相手は顔も名前も出てこない「見えないキャラクター」ですが、その存在感を出すために、落書きの画風やコメントの言葉選びなどで工夫された点はありますか?
記憶を頼りになるべく再現しています。(版権内容とかもあったのでその辺りは変えていますが)最後、私が返事を書いたところだけはフィクションです。あまり定かではないですが、その時はただ何も書かずに終わらせてしまった気がします。この漫画で数年越しに返事ができたら、と願いを込めました。
(海川 まこと/漫画収集家)























