泳げない理由は肺活量?(はなゆいさん提供)
泳げない理由は肺活量?(はなゆいさん提供)

泳げないことは、コンプレックスになることがあります。しかし、泳げない理由を言語化してみると、意外な解決の糸口が見つかるかもしれません。はなゆいさんの漫画『泳げる人にとっては当たり前、でも泳げない人にとっては目から鱗だった泳ぐコツ』では、そんな実体験が描かれSNSで話題になっています。

ある日、作者は子どもたちとプールへ行きました。そこで作者は「ママは泳げないよ」と伝えると、子どもから「大人なのになんで?」と素朴な疑問を投げかけられます。作者は「人より運動神経が悪くて、肺活量も少ないから」と自分に言い聞かせ、これまで積極的に泳ぐことはなかったそうです。

一方、子どもたちはプールが大好きでした。頻繁にプールへ通ううちに、作者は泳げないなりにも子どもたちに泳ぎ方を教えるようになります。

そんなある日、作者の中に「もしかして、私が泳げない理由はこれじゃない?」という仮説が浮かびました。その仮説を確かめるため、別の日に作者は1人でプールへ向かいました。25mプールを泳ぎ始める前に「ゴール遠っ…」と緊張しながらも、クロールに挑戦します。

顔を水につけ勢いよく泳ぎ始めると、すぐに苦しくなってきました。しかし「落ち着け、ゆっくり」と自分に言い聞かせながら、腕をゆっくり回し息継ぎを続けます。

「苦しい…落ち着け…焦るな…ゆっくり…」と、心の中で繰り返しながら泳ぎ続けたところ、なんと25m先の壁までたどり着くことができたのです。

「私…泳いだ!?」と驚いた作者は、仮説が正しかったことを確信したのでした。

作者が考えた「泳げない理由」は、苦しさから生まれる悪循環でした。泳ぎ始めるとすぐに苦しくなるため、「早く向こう側に着きたい」と全力で体を動かしてしまいます。すると心拍数が上がってさらに苦しくなり、もっと急いで泳ごうとしてしまうのです。その結果、耐えられなくなって立ち上がってしまうというものでした。

電子書籍『カナヅチ・アラフォーが突然泳げるようになった話』では、この悪循環を断つための方法も紹介されています。

読者からは「目から鱗すぎる」や「こうやって言語化してもらえると一気にわかりやすくなる」などの声があがっています。そんな同作について作者のはなゆいさんに話を聞きました。

■「え、できた!?」となったときは、本当にうれしかったです

ー同作を描こうと思われたきっかけを教えてください。

私は子どもの頃からずっと泳げなかったのですが、泳げる人に聞いても「力を抜けば浮くよ」とか「普通に泳げばいい」と言われて、その「普通」がずっと分からなかったんです(笑)。

それが、子どもの水泳教室を見たり、泳げる人を観察したりしているうちに、自分なりに「もしかして、こういうことなんじゃないか」という仮説ができてきました。実際に試してみると、それまで泳げなかった私が泳げるようになったんです。

そのとき、できる人にとっては当たり前すぎて言葉にしないことが、できない人にとっては一番知りたかったことだったりするんだと思って。これは漫画にしたら面白いかもしれないと思ったのがきっかけです。

-実際に25mを泳げたとき、どのようなことを感じましたか? 

自分の中では「これでいけるんじゃないか」という仮説はあったんですが、本当にできるかは分からなかったので、一人でプールに行ったときはかなりドキドキしていました。水に入ったときの冷たさも、妙に覚えています。

そして実際にやってみて、「え、できた!?」となったときは、本当にうれしかったです。大人になると、「昨日までできなかったことが、今日できた」という経験って意外と少ないんですよね。

だから、40歳を過ぎてからの「できた!」は、子どもの頃とはまた違う、ものすごく新鮮な喜びでした。

(海川 まこと/漫画収集家)