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阪神大農災による激甚被災地十三地区の復興まちづくりの骨格を審議する兵庫県都市計画地方審議会(会長・田中茂神大名誉教授)は十六日、市町が示した原案を可決、貝原知事に答申した。知事はこれを受け「具体的なまちづくり案は住民との今後の話し合いで決まる。その時、今回の決定を修正すべきだとなれば柔軟こ対応する」と表明。今回の骨格決定は、地域の一日も早い復興のために必要だったとしながらも、住民との今後の対話を重視し、本計画を決める次の段階で修正もあり得るとの姿勢を鮮明にした。
建築基準法に基づく建築制限期間二カ月の最終日に焦点を合わせた今回の都市計画決定は「被災者不在」との強い批判を浴びた。しかし知事の声明は、計画作業が骨格と本計画(詳細案)の二段階で行われることを明確にした上で、本計画策定への住民参加と合意を呼び掛けており、関係被災住民の不安感はかなり解消されると見られる。
骨格計画は十七日、県と各市町が必要な大臣認可などを得た上、告示、決定する。
審議会は学識経験者と行政機関、議会の代表ら三十四人で構成、午前十時から九時間にわたる審議の末、復興関連議案四十九件を含む六十六議案を原案通り可決、知事に答申した。復興関連の対象は神戸市五地区、芦屋、西宮市各二地区、宝塚市三地区、北淡町一地区の計十三地区、約二百五+五ヘクタール。
可決された計画内容は、十三地区を、被災市街地復興特別措置法に基づく復興推進地域に指定。同時に、地区ごとに土地区画整理事業区域、緊急性の高い第二種市街地再開発事業区域に線引きし、さらに一部を、建物の容積率の高い高度利用地区などに指定した。幹線道路、大型公園、駅前広場など骨格だけを盛り込み、詳細案を住民らの今後の検討にゆだねた内容。
骨格計画の決定によって各市町は、仮設店舗、住宅の建設や集約換地、住宅の共同化など、さまざまな復興支援施策の選択が可能になるとして、不足してきた関係住民への説明を拡充。その意向を受け、まちづくり案の具体化作業に着手したいとしている。
知事は県都計審の開催に先立って同日朝、笹山神戸市長、北村芦屋市長と面談、さらに馬場西宮市長、正司宝塚市長、小久保北淡町長とも、テレビ会談などを通じて今後の基本姿勢を調整、声明を発表した。
審議会では各議案とも、圧倒的な挙手多数で承認が決まった。
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