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 阪神大震災で夙川・西宮北口間(二・七キロ)が不通となっていた阪急電鉄神戸線が十二日始発から、運転を再開、震災から百四十六日ぶりに全線開通した。これでJRに続き三宮と大阪・梅田間が直結した。

 この日は月曜日で、各駅は朝からサラリーマンや学生らで混雑。三宮駅や、三宮方面の道が開かれた西宮北口駅では、震災前を思わせるラッシュ風景が見られた。

 同電鉄によると、震災前の約六割まで減っていた乗客は八、九割まで回復、最も混雑する区間の神崎川・十三間は平均一一〇%程度だった乗車率が、約一四〇%にアップした。

 夙川・西宮北口間は高架橋の大半が崩壊。鉄骨鉄筋コンクリート製の高架橋に新しく造り直した。損傷のなかった基礎を活用しながら柱と柱の間隔を広げ、土台部分と軌道部分を同時並行で工事を進めた。沿線住民の協力もあり、八月末としていた復旧時期が早まった。

 阪神間の鉄道は、二十六日に阪神本線が全線開通し震災前に戻る。

 山陽電鉄は十八日、神戸電鉄は二十二日にそれぞれ最後の不通区間が復旧。残る神戸高速新開地・高速長田間と一部不通の六甲ライナーなど新交通システムは八月中に開通の見通し。

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 「やっと乗り換えなしで通えるようになった」-。十二日、阪急電鉄神戸線が全線開通し、アズキ色の電車が、約五カ月ぶりに神戸・三宮と大阪・梅田間を直結して走った。人影がまばらだった駅にも活気が戻り、通勤・通学の乗客たちはほっとした表情を浮かべていた。

 最後の不通区間となった西宮北口-夙川間は午前四時三十七分、始発の普通電車が約八十人の乗客を乗せて、真新しい高架橋へと走った。

 阪急西宮北口駅で、三宮行きの電車を待っていた西宮市段上町、会社社長森川清さん(72)は「やっと帰ってきたと、懐かしい思い。代替バスは時間がかかるし、体力的にもしんどかった。貿易関係の仕事なので、あとは神戸港の立ち直りを待つだけ」と明るい表情。

 同駅は駅員七人を臨時に増やし、全通と新ダイヤの混雑に備えた。本社からの応援組、能上尚久さん(36)は「乗客数は、ほぼ予想通りで、震災前の八割ほど。当初、全面復旧を八月末としていたので、他線の定期を買ってしまった人も多い。一カ月先、三カ月先が勝負」と話した。

 新たに特急が停車する神戸市東灘区の岡本駅。JR摂津本山駅と接近し、乗客の争奪戦が激しくなる。専門学校生(20)は「運賃は値上げになるが、便利なので阪急を使いたい」と歓迎。「JRと乗り比べて検討」と話す会社員もいた。

 阪急三宮駅は、板を張ってホームを拡張していたが、この日から元の形に。通勤特急などが新設され、ダイヤが大幅に変わったため、ホームで新しい時刻表を手にする姿が見られた。

 尼崎市の旅券事務所に勤務する神戸市須磨区の女性(26)は「以前はJRで西ノ宮まで出て、阪急の駅まで十分歩いていた。梅雨の時期なので歩かなくてよくなったのがうれしい」。神戸市東灘区の自宅が全壊し、須磨区から車で片道二時間半かけて西宮・今津の会社まで通っていた桑原滋さん(43)は「通勤時間が半分以下になる」と話し、加古郡播磨町から西宮・甲東園まで通う大学生、村尾聡美さん(19)は「通学が三十分短くなる」と、喜んでいた。

1995/6/12
 

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