記事特集
阪神大震災で統一地方選から離脱、延期された兵庫県議選、神戸、西宮、芦屋市議選、同市長選の五つの選挙は十一日投票、即日開票された。復興策の是非をめぐって激戦となった芦屋市長選は、現職の北村春江氏(66)=自民、新進、公明推薦=が大差で再選を果たし、課題が山積する「芦屋の復興」は、再び全国唯一の女性市長の手にゆだねられた。県議選では自民党系が過半数を維持、共産は七議席と過去最多の議席を得、新進党も初議席を確保した。社会党は現職の県本部書記長が落選するなど惨敗、社民連合勢力としても大きく議席を減らした。激甚被災地の三市議選では、震災を背景に議会のあり方などを批判した新人が進出、”復興議会”に新風を送り込んだ。
再選を決めた北村氏は「重い責任を背負ったが、市民とともに復興対策に全力を尽くしたい」と抱負を話した。しかし恒久住宅の確保や財政問題など課題は山積。復興事業の土地区画整理の進め方をめぐり、反対住民が行政訴訟を構えるほど強硬な態度を崩さず、復興への合意をどう見いだしていくのか、かじ取り役として手腕が問われる。
北村氏と、前市長山村康六氏(73)=社会、さきがけ、兵庫民社推薦=ら三氏との争いは、復興策をめぐる対立に加え、推薦政党のねじれ、分裂という波乱要素を含み、し烈だった。北村氏は「芦屋の再生は自分の手で」と復興行政の継続を訴え、二百以上の推薦団体や女性を中心とした支持基盤に支えられ、地滑り的な大差をつけた。
兵庫県議選(定数九二)は、無投票当選の十五人を除く、三十一選挙区の七十七議席が争われた。
自民は、公認の当選こそ前回を十二人下回ったが、帰属が明確な推薦候補を含めると四十七人が当選。非推薦の新人らが三人前後は会派入りすると見られ、安定多数には至らなかったものの過半数は維持した。
社会は公認を前回の二十から九に減らし完勝を期したが、藤本欣三県本部書記長ら現職二人が落選するなど五議席にとどまった。同党県本部は五月に新政治団体「リベラル近畿ひょうご」を結成、社民・連合ブロックの結集に意欲を燃やすが、兵庫民社の当選一人、連合型無所属七人、民社系無所属一人を合わせても計十四人にとどまり、ブロックで改選前の十六議席を維持できなかった。
共産は行政の震災対応を批判、前回の六を上回り、三人を擁立した新進は、初議席を確保。公明は十二人が全員当選した。護憲社会は七人を立てたが、現職二人が落選して一議席にとどまるなど、社党県組織の分裂で、力をそぎ合う結果になった。無所属は二十七人に達し、過去最多。
▼芦屋市長選確定得票
当 | 24,799 | 北村 春江 | 無現 |
10,183 | 山村 康六 | 無元 | |
3,904 | 田原 潮二 | 無新 | |
727 | 鈴木 昭三 | 無新 |
<略歴>北村春江(66) 無現(2)=自、進、公推
弁護士(家裁調停委員、市教育委員長、大学講師)
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