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復興へ 第18部 この国 震災3年の決算

(8-3)NPO 新たな社会領域を探る
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 「歩くNPO(非営利組織)法案」。そんな呼び方もされる社民党衆院議員・辻元清美は、参院の動向が気がかりだ。

 国際交流のNPO・ピースボート共同代表から議員に転じ、法案の説明者でもある。「ともかく法案を通すこと。でも、国会ではNPOという新しい社会領域ができることが、理解されにくい」と漏らす。

 辻元は、昨年十一月下旬の夜、埼玉県志木市に、参院自民党幹事長・村上正邦の自宅を訪ねている。

 自民、社民、さきがけの与党三党と民主党が共同提案した法案は、昨年六月、衆院を通過しながら参院でたなざらしになった。「参院自民党は、法案の市民という言葉に『反体制』のイメージを持っている」との話が聞こえてきた。

 「カギは村上幹事長」と、辻元は背中に、説明資料をぎっしり詰めたリュックを背負っていた。村上は不在。が、その場から電話で話すことはできた。

 臨時国会のさ中、橋本首相に会った経団連会長・豊田章一郎も「法案の早期成立を」と申し入れている。

 同二十八日、自民党は法案の名称「市民活動促進法案」から「市民」を外し、「特定非営利活動促進法案」に変えることなどを社民、さきがけに提案、三党は修正で合意した。だが、臨時国会では結局、審議入りしないまま、越年した。

    ◆

 「ボランティア元年」といわれて三年。被災地を訪れたボランティアは震災以降、延べ百七十万人を超える。

 仮設住宅の支援を中心にしてきた被災地のボランティア団体は、「仮設解消後」も見据え、地域に根ざした活動を目指している。

 その団体に「法案全面賛成論」は少ない。

 法案は行政が団体を審査、法人格を与えて支援するが、「団体の認証、立ち入り検査、解散と、NPOの入り口、真ん中、出口を役所に握られないことが必要だ」と、コミュニティー・サポートセンター神戸の中村順子は指摘する。

 中村は、兵庫県が構想中の「ボランティア活動支援センター」基本計画検討委員も務める。ボランティアが行政と対立するとは考えないが、「自律的、民主的に運営する」とうたう同センターにも、こう話す。

 「官が建てたものを、民が運営することは可能だろうか。こちらの力量はまだ不十分。行政に巻き込まれてしまうのではないだろうか」

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 修正された法案は、省庁再編に向けた委員会再編で、通常国会が開会した十二日、労働・社会政策委員会に付託された。二十二日、趣旨説明が行われる。

 「問題はあっても、法案は環境づくりの第一歩」と考える「市民活動を支える制度をつくる会」(東京)事務局長の松原明は、「審議日程を早く決めてほしい」と求める。

 国会は省庁再編など重要法案がめじろ押し。与党の枠組みは揺れ動き、議員立法は後回しにされやすい。参院の修正可決後、再び衆院に回される。松原は言う。

 「『NPOには行政の管理が必要ではないか』と自民党議員にいわれた。しかし、NPOはもともと管理などできない。情報公開で中身をガラス張りにする中で、市民がより分けていくものだ」

 震災をきっかけにしたボランティア活動のうねり。NPOは、この国の価値観とぶつかり合い、その領域の模索はなお続く。(敬称略)

西海恵都子、藤井洋一、坂口清二郎、宮田一裕、小西博美)=第18部おわり=

1998/1/22

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