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復興へ 第18部 この国 震災3年の決算

(4-2)困難を極めた被害判定 り災証明書発行で各自治体
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実務に結びつかない国の基準 被災者に根強い不満
 り災証明書の発行は、被災地の市町がそれぞれに行ったが、全壊、半壊などの認定根拠になったのは、内閣官房審議室長の通知だ。通知では、一部破損に触れていないが、厚生省監修の「災害救助の実務」は、「損壊程度が半壊に達しない程度のもの」と明記する。通知が出る以前は、消防庁、警察庁、厚生省など、各省庁で基準が異なり、統一基準が必要になった経緯があるが、被害判定は難しく、阪神大震災の被災者には今も不満が根強い。

 大震災後、判定業務に携わった自治体職員は、難しさを次のように振り返る。

 「当時、被災者の多くが避難所などに避難し、建物内部に立ち入っての調査が難しかった。外観から判断せざるを得なかった」

 「全壊、半壊、一部破損の境界線上の判断が難しかった。際どいものは、判定する人の見方によったと思う。すべてが適切な判断だったかと言えば難しい」

 通知が示す基準は、判定実務に結びつくものではなかった。そこに、混乱が生じた。

 さらに、通知が想定していない被害もあった。液状化で住宅が傾いた芦屋市は「国の基準には具体的判断基準がない。建築家ら専門家を交えて判定基準を決めた」と言う。

 各市町は判定への被災者の不服に応じるため、再調査を実施。最大規模の被害を受けた神戸市の場合、り災証明書の発行総数、約五十四万枚(一世帯への複数枚発行含む)のうち、再調査の申請は約六万千件に上った。その結果、当初の判定内容がどれだけ変わったかの集計はなく、当時、判定に混迷を極めていたことがうかがえる。

 り災証明書が発行された当時は、その判定が適用されるのは義援金配分など限られた分野だったが、その後の新たな支援策も、り災証明が基本になった。とりわけ、全壊・半壊と、一部破損との間に大きな差ができた。

 兵庫県幹部は「今後の大災害では、り災証明の判定をめぐって大混乱になるだろう」と言う。支援の差を阪神大震災で知った、新たな災害の被災者が、判定に神経をとがらせるだろうとの見方である。

 「あの家が半壊で、なぜ、うちは一部破損なのか」。被災者には、証明書の発行当時に再調査を求めていれば良かった・と、今でも後悔している人がいる。

 判定そのものがあいまいさを含み、り災証明の判定が想像以上に支援策に連動していったことが、そうした思いを持ち続けざるを得ない被災者を生んだ。

メモ

通知「災害の被害認定基準の統一について」

 【住家全壊全焼(全流出)】 住宅が滅失したもので、具体的には、住家の損壊、焼失もしくは流失した部分の床面積が、その住家の延べ床面積の七〇%以上に達した程度のもの、または住家の主要構造部の被害額がその住家の時価の五〇%以上に達した程度のもの。
 【住家半壊(半焼)】 住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元どおりに再使用できる程度のもの。具体的には損壊部分がその住家の延べ床面積の二〇%以上七〇%未満のもの、または住家の主要構造部の被害額がその住家の時価の二〇%以上五〇%未満のものとする。
(一九六八年六月十四日、内閣総理大臣官房審議室長による通知)

1998/1/16

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