明石市は新たな市指定文化財として、市内最古の赤根川金ケ崎窯跡(魚住町金ケ崎)から出土した古墳時代後期(6世紀前半)の須恵器42点と、江戸期に作られた稲爪神社(大蔵本町)の太鼓を指定した。古代の文化の広がり方や、明石城下の祭りの姿を伝える文化財として価値が認められた。市指定文化財は45件となった。(谷川直生)
赤根川金ケ崎窯跡の須恵器は1988~89年の発掘調査で見つかった。椀(わん)状の杯(つき)やつぼ、球状の胴にラッパ形の口が特徴の「はそう」など用途が異なるさまざまな土器が、窯跡や周囲の溝、焼け損じた器を集積する灰原から出土している。
動物の角の形をした角杯形土器は、発見例が近畿地方を中心に約20例と少ない土器で、窯跡からの出土は福井県南部と明石の2例のみ。朝鮮半島の新羅地域で多く見つかっており、当時の流行や文化がどのように波及したかを探る上で貴重という。