昨年11月の兵庫県知事選を巡り、県選挙管理委員会は15日、混乱が生じたポスター掲示板の設置や、他候補の当選を目的とした、いわゆる「2馬力の選挙戦」などの課題について、総務省に対応を求める要望書を17日に提出すると明らかにした。異例の選挙だったことを踏まえ、県選管は「選管事務への助言のほか、公明かつ適正な選挙に資するような法整備も求めたい」としている。
知事選では政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が「斎藤元彦氏にプラスになる選挙運動をしたい。自身の当選は考えていない」として立候補した。同日に投開票された県議補選では、立候補した元職1人(落選)が選挙ポスターに斎藤氏の応援に当たる表現を使ったとして、選管が撤去を命じた。
県選管は立花氏などの個別事例への言及は避けたが、候補者への誹謗中傷や真偽不明の情報が飛び交ったことも含めて「公職選挙法の趣旨を損ないかねない状況が見受けられた」と指摘。委員らが議論し、国に法改正を含む対応を求めることを決めた。
また、知事選では告示前に立花氏が複数人の候補擁立を示唆したが、その後に翻すなどした影響で立候補者数の予測が難航。当初は掲示板を10人分で各市町に依頼したが、一時24人まで増やし、最終的に16人分に減らす通知を出した。二転三転した状況に選管の作業が追いつかず、実際の立候補者7人に対し、24人分の枠の掲示板のまま使われた事例があった。
県選管は「掲示板設営では市町にも負担をかけた。実情を国に伝え、告示直前に候補者が増えた場合の助言を求めたい」とした。斎藤元彦知事は15日の定例会見で、要望書提出の動きに対し「選管は首長から独立しており、コメントは差し控える」と述べた。
ポスター掲示板を巡っては昨年7月の東京都知事選で、候補者数が想定を上回って枠が不足したほか、選挙と関係のないポスターが張られた問題もあり、与野党で法改正に向けた議論も行われている。