ポートアイランド住宅で階段避難車を体験する中学生ら=神戸市中央区港島中町3
ポートアイランド住宅で階段避難車を体験する中学生ら=神戸市中央区港島中町3

 目には見えない人間同士のつながりが、いざという災害時に大きな役割を果たす。30年前の阪神・淡路大震災では、多くの人ががれきの下から近所の住民に助け出され、被災後も支え合いながら復興を目指した。そうした地域の人間関係や信頼関係を「資本」と捉え、「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」をキーワードに災害に強い地域を目指す動きが出ている。(高田康夫)

 神戸市の人工島・ポートアイランドで、10月に始まった「共助を育む防災フィールドワーク-港島で考えるソーシャルキャピタル」。地元の港島学園の中学生約90人と、ポーアイにキャンパスがある神戸学院大の大学生約35人が地域を歩きながら災害への備えを学ぶ。地区の防災に取り組む地元住民も協力している。

 ポーアイには一戸建てがなく、住民は全員マンション住まいという特殊な地域だ。頑丈な鉄筋コンクリート造りで倒壊する恐れは低いが、停電してエレベーターが使えなくなれば、水などの重い物資の持ち運びや、足の悪い高齢者の移動などに困難が伴う。