持続可能な開発目標(SDGs)の観点で注目を集める「昆虫食」と、兵庫県養父市の特産・朝倉サンショウを融合した商品が、同市内で販売され始めた。開発者は近畿大大学院1年の清水和輝さん(25)=奈良県。いずれは市内で捕った虫を使った商品の開発も目指しており、「養父市を訪れるきっかけに」と力を込める。(吉田みなみ)
清水さんは高校時代、イナゴのつくだ煮を食べて昆虫食に目覚めた。自身で採集、購入して食べた虫は100種類以上。「昆チューバーかずき」を名乗り、昆虫食のレシピなどを紹介する動画をユーチューブに投稿したり、クラウドファンディングの調達資金でコオロギコーヒーを開発したりして、昆虫食の普及を目指してきた。2023年5月には同大発ベンチャー企業として、昆虫食の企画開発会社「POI」を設立。学業の傍ら、商品化や広報、講演などに力を入れてきた。
養父市との関わりは同年7月。市内と都市部の事業者をつないで観光振興を図る市主催のビジネスプランコンテストに参加したことだ。清水さんは、養父市でかつて盛んだった養蚕に着目し、カイコのさなぎに含まれる豊富な栄養を生かした昆虫食作りや、豊かな自然を楽しめるツアーの実施などをアピール。入賞して昨年秋から実現に向けて動いていた。
今回商品化したのは、食用カイコのさなぎを蒸し焼きにした「ロースト蚕(かいこ)サナギ」と、食用コオロギを揚げた「フライドコオロギ」。コオロギはエビやカニなどの甲殻類と似た食感。カイコは少し癖があるものの、できる限り臭みを取り、サンショウの風味とうまく合う味付けにした。同市内で限定販売し、興味を持った人に訪れてもらう狙いだ。清水さんは「酒のつまみとしての相性も良く、サラダに振りかけても変わった味を楽しめる」と話す。
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今年4月末、清水さんは出来上がったばかりの新商品2種類を携え、同市を訪れた。市内の飲食店や企業などを回り、商品のPRと販売契約を行った。
道の駅ようか但馬蔵(同市八鹿町高柳)では、朝倉サンショウを扱うコーナーに登場。奥田英治支配人(52)は「地元の産品を使っており、市のPRにもなる」と期待する。いずれも760円で、5月10日までに各3個ずつ売れたという。担当者は「まだ昆虫食へのハードルは高いかもしれないが、興味がある人はいるのかも」と話す。
2種類とも国内産の食用虫で生産するが、いずれは交流施設「かいこの里」(同市大屋町蔵垣)で育てるカイコのさなぎを使った商品開発を目指す。同市奥米地のホタルを観察するツアーや、毎年6月に開催される「守国かいこ祭り」への参加なども計画中だ。清水さんは「昆虫食は気軽に非日常が感じられる食材」といい、「養父市を昆虫食で盛り上げたい」と話している。























