失敗の経験を糧に出来るようなメンタル(増田さん提供)
失敗の経験を糧に出来るようなメンタル(増田さん提供)

失敗をしてしまったとき、「後ろを振り向かず、前を向こう」と前向きに切り替えようとする人は多いのではないでしょうか。しかしInstagramで日常のライフハックを発信している増田さんは、この考え方に一石を投じ話題を集めています。一般的には「過去は変えられない、だから未来を変えよう」と語られることが多いものの、増田さんは「むしろ逆ではないか」と考えます。

たとえばミスをしたとき、その瞬間は落ち込みますが、その失敗をきっかけに業務改善が進んだり、挽回のために努力できたりすることもあるでしょう。そうした積み重ねが「今の自分」を作っていると考えると、むしろ「失敗して良かった」と思えるようになるというのです。

つまり、起こった事実そのものは変わらなくても、「どの時点から振り返るか」「どう解釈するか」で過去の評価は大きく変わります。過去を「変えられないもの」として振り返らずにいると、失敗はただの失敗として固定されてしまうのです。

逆に、「未来を信じれば大丈夫」と楽観視しすぎると、思い通りにならなかったときに自分を責めることになりかねません。増田さんは「未来は思い通りにならないことも多い。だからこそ、過去を振り返りながら改変していく方が現実的だ」と語るのでした。同作について、作者の増田さんにさらに詳しく話を聞きました。

■うまくいかなかったとしても、経験や知識は役にたつ

ー「未来を変える」よりも「過去を変える」という逆転の発想は、どのような経験から生まれたのですか?

仕事での体験です。もともと私は会社員で、ウェブニュースで原稿を作る仕事をしていたのですが、あるとき、営業職に移動しました。しかしまったく成果が出せず、1年も続かずにまたもとの部署に戻ることになったんです。その時は「営業に移動したのは失敗だった」と思いましたね。

でも、その後に管理職になった際に、営業で培った知識や経験が、チームの運営などに役立つ場面が多くありました。その経験を通じて「営業への異動は失敗だったと思っていたけれど、最終的には成功だった」と考えるようになったのです。

事実は変わらなくても、過去に対する解釈は変わり得る。その気づきが、今の考え方の出発点になりました。

ー「過去を変えられた」と感じた体験は?

営業の経験が最も大きいですが、その後の転職でも同じようなことがありました。転職先でうまくいかず短期間で辞めてしまったのですが、そこで得た知識が次の職場で大きな武器になりました。こうして振り返ると、失敗したと思っていた出来事が、その後の成功につながる土台になっていると感じます。

ー過去の失敗を「良い経験だった」と思えないとき、どう乗り越えればいいのでしょうか?

当漫画のコメントで、「人間は、今が幸せなら『あの時のおかげ』、不幸せなら『あの時のせい』となるのでは」という内容の話をいただいて、すごく腑に落ちました。それと同時に、過去の失敗をいい経験だったと思えないということは、今が不幸なのかなと…。逆説的ですが過去をいい経験に変えるためには「今をよくしていく」のが1番の方法だと思います。

(海川 まこと/漫画収集家)