釣り針が抜けた母猫/猫探しさん(@yaroneko77)提供
釣り針が抜けた母猫/猫探しさん(@yaroneko77)提供

漁港で、釣り針が胸に刺さり苦しんでいた一匹の母猫を発見したのは、YouTubeチャンネル「野郎が撮った猫動画」を運営する30代の男性・猫探しさん(@yaroneko77)です。胸のあたりから垂れた糸に気づいて確認すると、針が深く刺さっていたといいます。釣り針を丁寧に抜いてあげると、それまで警戒して姿を見せなかった子猫たちが次々と現れました。動画には「安全だと分かったから子猫を呼び寄せたんですね」といったコメントが寄せられ、母猫と投稿主さんとの信頼関係に驚く声が集まっています。

「猫を撮影するために漁港に行ったとき、胸のあたりから糸が垂れている猫を見つけました。最初は気づかなかったのですが、糸を辿っていくと、釣り針が胸に刺さっていることが分かりました」と語る投稿主さん。

撮影のため訪れていたのは離島で、動物病院に連れて行くのは現実的に難しい場所でした。放っておけば傷が悪化するかもしれないと考えた投稿主さんは、その場で針を抜くことにしました。

「自分で『何とか外してあげたい』という気持ちでした」

投稿主さんはこれまでにも、釣り針やルアーが刺さった猫を助けた経験があります。胸やお腹に刺さっている場合は、その場で取り除けることが多いといいます。

「(今回は)幸いにも猫はあまり暴れませんでした。釣り針が猫の口に刺さった場合、動物病院で麻酔をかけて外す必要があり、口内の傷は命に直結するので、釣り針の不法投棄は本当に止めて欲しいです」と投稿主さんは話します。

針を抜いたあと、落ち着いた様子の母猫のもとに現れたのはなんと子猫たち。真っ黒な子猫に続いて、白黒模様の子など他の子猫たちも続々と集まってきます。

「この辺りに子猫がいることは知っていましたが、とても警戒心が強くすぐに逃げてしまうので、母猫の前に自ら出てきた時には、じっくりと姿が見れて嬉しかったです。母猫が人と触れあう姿を見て、子猫たちにも、馴れてほしいなと思いました」

今回の動画には、「普通なら取る時も嫌がって暴れるだろうに信頼があったから取らせてくれたのだと思います」「安全だと分かったからきっと母猫はグルルンと鳴いて子猫を呼び寄せたんですね」と投稿主さんと母猫の信頼関係を称賛するコメントが多数寄せられました。

投稿主さんは、こうした猫たちを守るためには、釣り人や地域住民の協力が欠かせないと訴えます。また、猫が命の危険にさらされるきっかけは、釣り針以外にもあるといいます。

「以前、猫の手がアナゴ穴という筒状の漁具から抜けなくなり、その状態でテトラポットの隙間に引っ掛かり、身動きがとれなくなっている所を見つけたことがあります。潮が満ちてきており、切迫した中でなんとか助ける事ができました」

そうした経験を踏まえ、投稿主さんは以下のように呼びかけています。

「最近では完全室内飼育が推奨されていますが、捨てられた猫を地域猫として育てる場合や、猫がたくさん住んでいる離島など、やむを得ない事情で外猫がいる場合があります。特に漁港周辺には外猫がたくさん住んでいます。釣り人の皆様は、釣り針やゴミ、フグやゴンズイなどの有毒魚を、安易に遺棄しないようにお願いしたいです」

さらに、「外猫への無責任な方法でのエサやりは近隣住民への迷惑となり、猫が嫌われる原因となります。置きエサの禁止、エサやり後の清掃、エサやり場の選び方などの配慮を忘れないでほしい」としています。