相手を動かす伝え方とは…(B.B軍曹さん提供)
相手を動かす伝え方とは…(B.B軍曹さん提供)

相手に気持ちよく動いてほしいけれど、伝え方を1歩間違えると角が立ってしまうもの。職場でも家庭でも、誰かに何かをお願いしたり、改善を求めたりする際の「言い回し」に頭を悩ませたことは誰しも経験したことがあるでしょう。B.B軍曹さんが投稿した『相手を動かす夫の伝え方』はそんなコミュニケーションの迷宮を鮮やかに解き明かす「魔法のルール」を教えてくれる作品です。

物語は、作者が「人に上手にお願いすることの難しさ」を実感する場面から始まります。例えば、相手を褒めると、それが「手抜き」に繋がってしまうこともあると言います。物事を円滑に進めるための本当のコツは何なのか、作者は夫である髭さんに相談します。

すると髭さんはアドバイスを語りはじめるのでした。まず大切なのが褒める時は「人(名前)」を主語にすることです。「さすが〇〇さんだね」と名前を添えることで、相手に心からの敬意が伝わり、相手も「自分の仕事が認められた」と明確に認識できるのだといいます。

一方で、指摘をする時は「コト(事象)」を主語にすることが重要だと言います。「〇〇さんが悪い」と人を責めるのではなく、「優先順位を整理しよう」「ここを改善しよう」と、やるべき「コト」に焦点を当てるのです。そうすることで、相手の尊厳を守りつつ、建設的な改善を促すことができると話します。

「褒める時はヒトを、指摘する時はコトを」この明快なルールこそが、人間関係を壊さずに物事を好転させる鍵であると、髭さんは締めくくるのでした。

同作について作者であるB.B軍曹さんに話を聞きました。

■人にお願いするときは、人を信頼していることが伝わる形にする

ー「人にうまくお願いするのが難しい」と痛感した具体的なエピソードはありますか?

以前はお願いするとき、ちゃんとやってもらえるか不安で説明が長くなったり、逆に遠慮して言えなくなったりすることがよくありました。例えば、仕事でも「ここ少し直してもらえますか?」と伝えたつもりでも、相手からすると、どこを、どのくらい、なぜ直せばいいのか分からないことが多かったんです。結果として、伝えたのに動いてもらえない。でも強く言えないという状態になりやすかった。

そのとき髭が言っていたのが、「人にお願いするときは、人を信頼していることが伝わる形にするといい」という話でした。そこから伝え方が大きく変わりました。

ー「褒めるときは人を主語に、指摘するときはことを主語に」という言葉を聞いたときどう感じましたか?

最初に聞いたときは、すごくシンプルなのに、すごく実践的だなと思いました。例えば「ここ違うよ」と言われると、人は否定された感じがするけれど「ここをこうするともっと良くなりそう」だと内容だけ変えたらいいんだと言う認識に変わる。

逆に「助かりました」よりも「Aさんがやってくれたから助かりました」の方が嬉しくなる。つまり、褒めるときは人を見て、直すときは内容を見るということなんですよね。これだけで関係の摩擦がかなり減ると感じました。

ーこの方法を使う上で「やってはいけない伝え方」はありますか?

一番よくないのは、直したい内容を人格の話にしてしまうことだと思っています。例えば「なんでこんなこともできないの?」は人が主語になっていますが、「ここがこうなるともっと良くなると思う」は内容が主語になっている。

同じ指摘でも、受け取り方がまったく変わります。髭はよく「ヒトを直そうとすると関係が止まるけどコトを直そうとすると話が前に進む」と言うのですが、これは本当にその通りだなと思っています。相手を動かすというより、一緒に前に進める伝え方なのかもしれませんね。

(海川 まこと/漫画収集家)