大垣夜行に使われていた165系(Paylessimages/stock.adobe.com)
大垣夜行に使われていた165系(Paylessimages/stock.adobe.com)

JR東海は8月9日に、三島発大垣行きの夜行列車を運行します。この列車はツアー限定列車であり、ツアー参加者以外の方は乗車できません。一方、JR東海はこの夜行列車を「ムーンライトながら」の復刻列車と見立て、鉄道ファンから大いに注目を集めています。それでは「ムーンライトながら」とは、どのような列車だったのでしょうか。

■深夜にJR東海管区を横断する夜行列車

JR東海が8月9日に運行する列車は三島発大垣行きとなり、三島駅を25時(1時)頃に発車し、大垣駅には7時30分頃に着きます。三島駅は東海道本線におけるJR東海管区の東端部、大垣駅は西端部に位置するため、夜行列車はJR東海管区を深夜に横断することに。車両は特急型車両373系を用います。

夜行列車はツアー参加者のみが乗車でき、ツアーの申し込みは7月5日に締め切られました。ツアーは三島駅から大垣駅で夜行列車に乗車し、大垣駅で専用バスに乗り換え。大垣市公設地方卸売市場や海津温泉を訪れます。なお、夜行列車では途中駅での写真撮影や、行先表示器等の回転が行われます。

■快速「ムーンライトながら」と前身の大垣夜行

JR東海は今回の夜行列車を「ムーンライトながらの復刻」と位置付けています。ムーンライトながらは東京駅と大垣駅を結んだ夜行快速列車で、1996年~2021年3月まで運行しました。夜間時間帯に東海道本線を移動でき、しかも特急料金不要の快速列車だったため、「青春18きっぷ」利用者に愛用された列車でした。

1996年登場時の使用車両は373系でしたが、2009年の臨時列車の格下げにより、使用車両はJR東日本の国鉄型特急電車183系、185系に変更。そして、2021年3月に臨時列車での運用も終わり、ムーンライトながらは25年の歴史に幕を閉じました。

もともと、ムーンライトながらは、東京~大垣間の定期快速列車、通称「大垣夜行」を引き継いだ列車です。大垣夜行は東海道新幹線開業の4年後にあたる1968年に登場しました。当時の国鉄は新幹線開業を背景に、東海道本線を走る長距離列車の整理に着手しました。対象の一つとなったのが、客車で運行されていた東京~大阪間の夜行普通列車でした。

しかし、この列車は大衆の人気を集めていたため、マスコミの後押しもあり、廃止反対運動を展開。最終的に、当時の国鉄総裁が事実上の存続を決め、登場したのが大垣夜行(東京→美濃赤坂、大垣→東京)でした。翌年1969年から上下共に、東京~大垣間となりました。

大垣夜行は急行型電車(165系)で運行され、1996年にムーンライトながらへ刷新されるまで親しまれました。

もちろん、大垣夜行も「青春18きっぷ」利用者に絶大な人気があったことは言うまでもありません。ムーンライトながらが人気を集める理由としては、利便性もさることながら、大垣夜行からの国鉄の香りが感じられる列車だったからでしょう。

さて、今回の企画を機にムーンライトながらの復活はあるのでしょうか。昨今の都市部における宿泊施設の高騰や航空会社による国内線の値上げを見ると、せめてオンシーズンの復活を望みたいところではあります。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)