寝ている間、スマートフォンを充電器につないだままにしている人は多いでしょう。これによって翌日はバッテリー残量を気にせず活動できる一方、「夜に充電しっぱなしはバッテリーが劣化する」「夜中に発火したりしないか不安」といった声がSNS上で散見されます。
ではスマートフォンを充電器につないだまま眠った際、端末内部ではどのような動きがあるのでしょうか。満充電後の端末内部の動きや安全性と劣化の違いについて、スマートドクタープロ心斎橋本店を運営する株式会社クレア代表取締役社長・古賀潤一郎さんに聞きました。
■一晩の充電は直ちに危険ではないが、熱と満充電の継続に注意
-充電が100%になった後、端末内部では何が起きていますか。
100%になると大きな電流での充電は止まりますが、端末が完全に休むわけではありません。残量がわずかに減ると短時間充電し、満充電を保つ動作を繰り返します。電池は電圧の高い状態に保たれ、基板上の充電用部品も働き続けるため、熱と負荷が発生します。充電の最適化機能が、就寝中は80%前後で止め、起床時刻に合わせて100%にするのは、この負担を抑えるためです。
-一晩中つないだままでも安全なのでしょうか。
危険性と劣化は分けて考える必要があります。健全な端末と正規品・認証品を正しく使えば、一晩の充電が直ちに発火などへつながるわけではありません。一方、高温と満充電状態が毎晩、長期間続けば、電池の化学的劣化が進みやすくなります。修理現場では、長年の通電によって基板上の充電用ICなどが損傷し、突然充電できなくなるケースもあります。充電が終わったら外すのが理想です。
-就寝中に充電する場合、何に注意すればよいですか。
重要なのは設定、置き場所、道具です。充電の最適化や上限を80%前後にする機能があれば活用してください。布団や枕の下、ソファの隙間は熱がこもるため避け、硬く平らな場所へ置きます。充電器はPSEマークのある製品、ケーブルは純正品または認証品を選び、破損や変形、焦げ跡があれば使用を中止してください。発熱しやすい厚手のケースは、就寝中だけ外す方法もあります。
-継ぎ足し充電や、充電しながらのゲームは電池に悪いですか。
継ぎ足し充電は問題ありません。現在のリチウムイオン電池は、むしろ0%近くまで使い切る深放電が苦手です。普段は20~80%を意識する程度で、神経質になる必要はありません。一方、充電しながら高画質動画を見たり、負荷の大きいRPGなどのゲームを長時間続けたりすると発熱しやすく、電池や基板へ負担がかかります。できるだけ充電ケーブルを抜いて使い(充電は休憩中に)、本体が「熱い」と感じたら、ケースを外していったん休ませましょう。なお、「充電しながら使うと過充電で爆発する」といった俗説がありますが、これは正確ではありません。問題は過充電ではなく「熱」です。正規品や安全基準を満たした充電器であれば充電制御は働きますが、熱による劣化の蓄積は防げません。
-直ちに充電を止め、点検すべきサインを教えてください。
最優先はバッテリーの膨張です。画面や背面が浮いたら、押したり穴を開けたりせず、充電を中止してメーカーや修理店へ相談してください。充電していないのに異常に熱い、残量表示が乱れる、突然電源が落ちる、ケーブルを替えても充電できない場合も点検が必要です。機能や操作方法は機種やOSで異なりますが、『熱を避ける』『正規・認証品を使う』『膨張したら使わない』の3点は共通です。
♦古賀潤一郎(こが・じゅんいちろう)
株式会社クレア代表取締役社長。スマートドクタープロ心斎橋本店を運営。総務省登録修理業者。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)























