家にも学校にも居場所がないと感じている人にとって、誰かに必要としてもらえたことは、大きな支えになるでしょう。漫画家の吉谷光平さんがX(旧Twitter)に投稿した『チンピラをボコボコにするサラリーマンの話』では、居場所を求めて喧嘩に明け暮れていた青年が、思いがけない出来事をきっかけに新たな道へ進む姿が描かれ話題となっています。
同作はサイコミにて連載中の作品『今どきの若いモンは』からの抜粋エピソードで、主人公の1人である課長・石沢一の過去を描いています。
家にも学校にも居場所がなかった不良少年だったゲンは、意味もなく喧嘩に明け暮れていました。そんなゲンが出会ったのが「兄貴」と呼ぶ反社会的勢力に属する人物です。兄貴に「必要だ」と言ってもらえたことで、ゲンは自分の居場所を見つけたように感じ彼を慕っていました。
そんなある日、兄貴からゲンは「ビルにいるだけ」という仕事を任されます。三ツ橋商事という会社が買った施設に居座り、立ち退きを求めてきた相手から金銭を要求するという方法でした。相手はサラリーマンだと聞き、兄貴は「脅せばすぐに金を出す」と笑います。しかし、そこに2人のサラリーマンがドアを蹴り壊して乗り込んでくると、その場にいた兄貴の手下たちと殴り合いの喧嘩を始めました。
その後、ゲンを含めて大勢いた手下たちは、あっという間に2人のサラリーマンに倒されてしまいます。そしてそんな様子に見切りをつけ、兄貴もその場から逃げ出します。この状況のなか、ゲンだけは兄貴の命令を守ってサラリーマンたちの前に立ちふさがり続けるのでした。
遠くから、手下たちがゲンがまだ残っていることを心配する声や、それに対して「あんなチンピラいくらでもいる!どうなっても構わねぇよ!いいからオレを守れ!」という兄貴の冷たい声が響いても、ゲンはその場を動きません。それは、拾ってもらった恩を忘れるような男にはなりたくない、という強い思いからの行動だったのです。
そんなゲンの姿を見たサラリーマンの1人、石沢は「一緒に働かないか」と声をかけるのでした。
読者からは「かっこよすぎる…」「かっこよすぎて全部読みたくなってきた…」など、サラリーマン2人に対する声が多くあがっています。そんな同作について、作者の吉谷光平さんに話を聞きました。
■「拾ってもらった恩を忘れる男にはなりたくない」ゲンが選んだ道
ーゲンというキャラクターについて、制作当初はどのような人物像を思い描かれていたのでしょうか?
ゲンに関しては登場時から過去回までおおよそ決まっていました。まっすぐだけど、それゆえに間違えやすい人だとも思います。
ー2人の喧嘩の強さを表現するうえで、特に意識された描写や工夫はありますか?
直接的に、殴る蹴るのシーンをいれないことは意識しました。
ー兄貴に見捨てられたあとも、ゲンは2人の前に立ちはだかりますが、このときのゲンのどのような行動や心情を描きたいと思われましたか?
裏切られても義理はそのまま、というゲンの気持ちを描きたかったです。
(海川 まこと/漫画収集家)























