認定NPO法人理事長・木田薫さん
認定NPO法人理事長・木田薫さん

 衆院選投開票日の8日が迫り、各党の公約の訴えも熱を帯びている。物価高騰による経済対策などが主要な争点に挙げられるが、淡路島ではどのような地域の課題があり、どのような処方箋が求められるのか。島内の有権者に聞いた。(劉 楓音、内田世紀、荻野俊太郎)

■少子化・教育

 「淡路島の課題は少子化の深刻化」と、就労困難者らを支援する認定NPO法人「ソーシャルデザインセンター淡路」(南あわじ市神代地頭方)理事長の木田薫さん(63)は指摘する。

 理由の一つとして挙げるのが、小児科や産婦人科の数の少なさ。「淡路島の人が明石市や徳島県で出産するケースをよく耳にする。地域に応じた医療課題の解決策を考えてほしい」

 これまで不登校やひきこもりの相談を300件以上受けた経験から、大切なのは「出口を考えること」だとする。特に、中学卒業時に次の窓口へ引き継げるかが重要だといい、「つまずいても、やり直しができる社会であってほしい」と訴える。

 また、子どもの生成人工知能(AI)やデジタル機器の利用にも懸念を抱く。「産業面では加速させていくことになるだろうが、教育面で人間に適しているのか見極めないといけない。海外の事例も参考に、規制を進めるべきではないか」と検討を求める。

■地域活性化・移住

 少子高齢化による人口減に見舞われている淡路島。一方で、島外からの移住者が増えており、地域活性化に向けて促進策への期待が高い。

 移住相談所を兼ねたたこ焼き店「たこたこ」(洲本市本町6)を営む林秀行さん(74)は、自身も神戸からの移住者。4年前に気軽に立ち寄れる場として開設すると、週に1組のペースで相談があり、年に5組程度の移住につなげたという。

 移住促進には「市街地や商店街は空き家だらけ」という地域の現状を踏まえ、支援策が必要だと考える。

 公営住宅を年齢や生活スタイルに応じて住み替える海外の住宅施策を参考に、「空き家を自治体が買い取り、移住者向けに整備できないか」と公的な仕組みを提案する。

 中山間地で独り暮らしが困難になった高齢者の受け皿など、可能性は広がるとする。「市街地に人が増えれば地域を維持できる」と多角的な視点での課題解決を強調した。

■第1次産業・人手不足

 「旬の魚が以前のようにはいなくなった」。淡路市佐野の漁師坂賢治さん(58)はそうこぼす。

 長らく収入の柱となっていたイカナゴやアナゴの数は激減。今は安定した漁獲が見込みにくい回遊魚頼みだ。不漁の原因の一つとされる海の栄養不足を補うために、海底の泥や砂を掘り起こして栄養分を放出する「海底耕運」や資源保全を進めているが、効果はまだ限定的だという。

 「海が今どういう状況なのか、どうすれば魚が戻ってくるのか。国も一緒に調査してほしい」。周囲からも切実な声が上がる。

 環境の変化は人手の確保にも影を落とす。所属する津名漁業協同組合は、この10年で組合員数が200人から150人に。「最近では、子どもに継がせないという仲間も多い」と先行きを不安視する。

 「このままでは島の基幹産業が廃れてしまう」という危機感が受け止められることに期待を寄せる。

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