細かな装飾が施されたセルロイドの製品が並ぶダイセル異人館の展示室=姫路市網干区新在家
細かな装飾が施されたセルロイドの製品が並ぶダイセル異人館の展示室=姫路市網干区新在家

 19世紀に開発された世界初のプラスチック素材「セルロイド」の製品を集めた「ダイセル異人館」(姫路市網干区新在家)が8月、展示内容を刷新して再オープンした。玩具や洗面道具などの日用品から、べっ甲や象牙を模した装飾品まで150点を超える製品を紹介。多様な用途から当時は「夢の材料」と称され、成形や金型技術の発展に寄与したセルロイドの歴史をひもとく。(真鍋 愛)

 セルロイドの発祥は諸説あるが、19世紀後半に米国で開発されたともいわれる。日本での生産は、20世紀初頭に本格化した。当初は技術面の問題で不良品が続出したが、徐々に解消。国内生産量は、欧州のセルロイドメーカーが第1次世界大戦で軍需産業に転換したのを機に急増した。

 同異人館は、化学メーカー「ダイセル姫路製造所網干工場」の一角にある。同社の前身「日本セルロイド人造絹糸(けんし)」が、英国やドイツなどから招いた外国人技師の宿舎として建設。設計は、初代通天閣を手がけた建築家の設楽貞雄が担った。