地名にもなっている「布引遊園地」は実際にあった施設としてこれまでにも紹介したが、その顛末(てんまつ)は興味深い。「神戸市史」などによると明治初期、神戸港の貿易商らでつくる民間企業「花園社」が景勝地である布引に注目。一帯を行楽地として整備し、布引遊園地をつくったという。
山の頂上に神社を造営して山道を整備したほか、茶屋や土産物屋も並んだ。朱塗りの橋をかけたりサクラやウメを植樹したりと工夫を凝らし、布引に関して詠まれた有名な和歌の碑も建てた。これらの名残は今でも登山道沿いにある。
「今でいう遊園地とは違います。物見遊山が目的の人が集まる場所といった感じでしょうか」
布引をフィールドに都市史を研究してきた神戸大学特命講師の小代(こしろ)薫さんは言う。まんじゅうを食べながら美しい滝やサクラをめで、酒を一献-。確かに人気が出そうである。
注目すべきは整備の背景だ。布引の開発に最初に注目したのは、開港によって神戸にやって来た外国人だったのだ。彼らの進出を阻むため、日本人が官民一体で団結したという。
多くの茶屋が点在し、かなりのにぎわいだった遊園地だが、暴利をむさぼる店が出てきた。「葺合ものがたり」(葺合区役所)によると「まんじゅう一個買うにも値段を聞いてからにせよ」といった悪評が出て、10年もたたないうちに同社は解散。やがて遊園地一帯の土地は明治10年代以降、川崎造船所(現在の川崎重工業)創業者の川崎正蔵が取得していった。
約150年前に花園社が整備した歌碑や登山道。その一部が残って今でも多くの人の目に触れ、地名としても存在しているのだから不思議な感じがする。そして小代さんは、同社が残した重要な足跡がもう一つあると指摘する。
「結果として花園社はすぐに解散しましたが、布引遊園地整備の経緯を調べると、近代的な公園制度のルーツが見えてきたんです」(安福直剛)
【バックナンバー】
(8)布引礦泉所の創業 川崎造船から派生
(7)創業123年「布引礦泉所」 名水販売の歴史重ね
(6)貯水池 希少な「かくれ滝」
(5)水の量少なくない? 壮大な滝は雨次第
(4)擬木の手すり 大正期製造か、登山道ずらり
(3)老舗茶屋 明治期の建築今に
(2)去来軒 消えた屋号の謎
(1)「遊園地」 土産物屋、茶屋にぎわう
【アーカイブ】
■旧居留地編はこちら

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