神戸に生まれた上方喜劇の名優の人と芸をつづった「曽我廼家(そがのや)十吾 日本一のおばあちゃん役者」が出版された。著者の小島のぶ江(本名・恵江)さん(93)=宝塚市=は、十吾に見いだされて舞台に立ち、晩年の素顔も知る。十吾が82歳で没し、今年で50年。薄れることのない師の記憶を、生き生きと描く。(田中真治)
■松竹家庭劇で薫陶、宝塚の小島のぶ江さん出版
十吾(本名・西海(さいかい)文吾)は1891(明治24)年生まれ。湊川神社近くの芝居小屋で大阪俄(にわか)に子役出演。喜劇の祖・曽我廼家十郎に弟子入りし、おばあさん役で頭角を現した。「茂林寺文福」の名で脚本も書き、二代目渋谷天外とのコンビで1928(昭和3)年に松竹家庭劇、48年には松竹新喜劇を結成した。
だが、喜劇観の違いから新喜劇を飛び出し、57年に家庭劇を復活。新人を募集し、約700人から選ばれた1人が小島さんだ。

























