魔の7歳-。子どもが関係する交通事故の中でも7歳児が絡むケースが特に多く、そう呼ばれている。秋以降は日没が早まり、帰宅時間と重なって事故が多発する傾向にある。子どもの安全を守るために、保護者や周囲の大人ができることは何か。21日に始まる秋の全国交通安全運動(30日まで)に合わせ、大阪大大学院人間科学研究科の特任研究員で、安全行動学が専門の岡真裕美さん(43)=大阪府茨木市=に聞いた。(竜門和諒)
警察庁によると、2022年に全国で起きた歩行中の交通事故のうち、年齢別の死傷者数では5歳は185人だが、6歳になると417人に増え、7歳では676人と最も多くなる。8歳以降は減少し、10歳になると347人とほぼ半数にまで減る。
7歳は小学1~2年生に当たる。それまでは保育園や幼稚園に通い、保護者らの送り迎えなどがあったが、小学校入学に伴って一人での行動が増えていく年齢だ。一方、交通ルールへの理解が不十分で、危険予測もできず事故に遭うケースが後を絶たないという。
岡さんによると、7歳児は「信号の色くらいしか理解できていない場合も多い」と話す。標識が読めなかったり、車のウインカーの意味が分からなかったり。青信号でも右折車や左折車が横断歩道を横切る可能性があるなど、大人には当たり前の知識でも、理解できているかどうかを確認する必要があるという。
子どもの視野は大人に比べて狭いとされ「『よく見て』と注意する親は多いが、子どもなりによく見ているつもり」と指摘する。
そのため、子どもに注意する際は「具体的に見るポイントを教えるべきだ」と訴える。「あの電柱が見えるまで首を曲げて」「あの曲がり角を見て、車がいなければ渡って大丈夫」などと、どこを見て何に気を付けるべきか、通学路などを繰り返し一緒に歩いて根気強く教えることを勧める。
また、事故は秋から冬にかけて比較的発生が多い。特に日没前後1時間の「薄暮時間帯」は、ドライバーにとって視界が徐々に悪くなり、歩行者の発見が遅れるのが一因。子どもの下校や習い事などの時間と重なることも影響しているとみられ、警察庁は「早めのライト点灯を」と呼びかけている。