城崎温泉街(豊岡市城崎町)の中心部を流れる大谿川。両岸に並ぶ柳が風に揺れる。軽やかな音が近づいてきた。
「カランコロン、カランコロン」
浴衣姿でそぞろ歩きを楽しむ観光客が、げたの音を響かせる。わざわざ足元をスマートフォンで撮影するインバウンド(訪日客)も見られた。日本人には当たり前のこの音も、外国人にとっては「歩くと音が鳴る」と、新鮮に映るらしい。
新型コロナウイルス禍が落ち着いて温泉街に人波が戻ってきた。浴衣は各旅館が貸し出し、老若男女、国籍を問わず、お好みの一着をまとって散策や外湯に繰り出す。「日本一、浴衣が似合うまち」には、げたの音がふさわしい。