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 歴史的な円安の流れを止めようと、日米両政府が協調して円買いの為替介入に踏み切った。片山さつき財務相は「今後、さらなる協調介入の実施もちゅうちょしない」と円安をけん制する姿勢を強調した。

 高市早苗首相の下、政府はこれまでも単独での円買い介入を行ってきた。一方、複数国の通貨当局がタイミングを合わせる協調介入はハードルが高く、大規模災害や経済危機といった非常事態時に限られていた。日米の実施は2011年の東日本大震災後以来、15年ぶりである。

 今回、極めて異例の対応に至ったのは、円安の阻止が両国にとって利益になるとの判断からだ。

 日本では、過度な円安が物価高騰を招いている。円安が進んでインフレが加速すれば、長期金利が一段と上昇する可能性がある。その場合、固定型の住宅ローンの金利が上がるなど、家計への影響は大きい。企業の長期借り入れの利払いも増え、設備投資や事業活動が鈍ることが懸念される。

 「強い経済の実現」を掲げ、官民の巨額投資で成長を目指す高市首相にとっては、何としても回避したい事態であろう。

 市場の動向に神経をとがらせるのはトランプ米政権も同様だ。日本経済への不安から円と日本国債がさらに売られれば、米国債売りを誘発し、米金利が上がりかねない。トランプ氏は円の買い支えを「日本との友好の証し」と表現したが、11月の中間選挙を控え、景気減退の要因になり得る金利上昇を警戒しているのは明らかである。

 協調介入は市場にサプライズをもたらし、円は一時急騰した。しかし、効果が持続し、円安基調を反転させられるかどうかは見通せない。

 円安の根底には、高市政権の看板政策「責任ある積極財政」に対する市場の不信感がある。先進国の中で最悪水準とされる財政事情を踏まえれば、歳出削減などを通して財政健全化への着実な道筋を描くべきだが、そうした動きは見えてこない。

 加えて、首相は明確な財源を示さないまま来年4月からの飲食料品の消費税減税を実行しようとしている。財政悪化への懸念から投機的な円売りが再燃すれば、為替介入の効果は消し飛ぶ。財政規律を重視する政策にかじを切る必要がある。

 日銀は7月末の金融政策決定会合で金利を据え置くことを決めた。今後は物価上昇を警戒し「利上げペースを速める」との考えも示した。

 今回の協調介入により、日銀がいつ利上げするかに大きな注目が集まる。利上げに慎重とされる高市政権からの独立を守り、物価安定への責務を果たすべきだ。