長引く円安と原油高で物価が上昇し、家計や企業を圧迫する中、日銀が利上げによりインフレ抑制を優先する姿勢を示した。
きのうまで開かれていた金融政策決定会合で、日銀は政策金利を現在の1・0%程度から1・25%程度に引き上げると決めた。追加利上げは6月の会合以来3カ月ぶりである。マイナス金利政策を解除した2024年3月以降、約半年に1度実施してきた利上げのペースを速めた。
妥当な判断と言えるが、物価高の勢いを沈静化できるかは不透明だ。日本の金利が上がると円で資産を持つ魅力が高まり、円高の材料となる。だが、日銀の会合で利上げへの賛否が分かれたことが影響し、一時円安が進んだ。
直前には、米連邦準備制度理事会(FRB)が3年2カ月ぶりに政策金利を0・25%引き上げて3・75~4・0%とした。このため日米の金利差は縮まっていない。FRBは年内の追加利上げを示唆している。金利差が広がれば円安が進行し、輸入物価を押し上げる恐れがある。
植田和男総裁は会見で、物価上昇率を2%に安定させる目標に向け、「引き続き政策金利を引き上げる」と述べた。
企業間で取引される商品の価格を表す企業物価は、8月までの3カ月連続で前年同月比7%台の高い伸びが続く。原料高を価格に転嫁する動きが広がっているためで、今後、消費者物価の伸びが目標の2%を超えるリスクも出てきそうだ。
日銀には、物価高への機敏な対応が求められる。ただし、利上げは住宅ローンや企業融資の金利負担増につながり、景気を冷やす側面もある。追加利上げに向けては、内需を支える個人消費と企業の設備投資への影響を見極める必要がある。
見過ごせないのは、米国が日本の金融政策に強い圧力をかける姿勢を見せたことだ。
ベセント財務長官は米メディアなどで日銀の早期利上げへの期待を度々表明していた。円と日本国債がさらに売られれば米国債売りを誘発し、トランプ大統領が嫌う米金利の上昇を招きかねないからだろう。筋違いの「口出し」ではないか。
止まらない円安と長期金利の上昇は、高市政権の財政拡大路線に対する市場の不信感の表れでもある。27年度予算の概算要求総額は過去最大に膨らみ、消費税減税や防衛費増額の具体的な財源は示されていない。財政悪化への懸念が強まれば、日銀の利上げ効果は打ち消されよう。
物価を安定させるには、財政規律の立て直しが不可欠だ。政府と日銀は連携し、経済と国民生活への影響を最小限に抑えねばならない。























