早いもので、もうすぐ夏休みです。受験の世界では、夏休みはよく「受験の天王山」と呼ばれます。天王山」とは、勝敗を左右する重要な局面という意味です。由来は、本能寺の変の後に行われた豊臣秀吉と明智光秀の戦いにあります。受験においても、夏休みの過ごし方がその後の成績や志望校合格に大きく影響すると言われています。今回は、この「受験の天王山」をどう乗り越えるか、夏休みの学習のポイントについてお話しします。

◆生活リズムを乱さない

 受験勉強に限らず、生活リズムが乱れるとすべての歯車が狂ってしまいます。夏休みだからといって夜更かしや朝寝坊を繰り返していると、学習効率は大きく下がります。

 できるだけ学校がある時と同じ時間に起床し、朝食をしっかり食べて一日をスタートさせましょう。

 理想的なのは、

 •普段通りの時間に起床する
 •午前中にまとまった学習時間を確保する
 •夕方に軽く運動や気分転換をする
 •夜にその日の復習を行う

 という流れです。

 こうした生活を続けると、自然と1日8~12時間程度の学習時間になります。

◆質を上げた学習を

 先ほど8~12時間と書きましたが、勉強時間はある程度必要ですがこれにとらわれる必要はありません。

 10時間机の前で何となく勉強しても、おそらく2学期に結果は出ないでしょう。結果を出すには勉強時間をこなすことを目標にしてはいけません。

 私が教えてきた成績が良い生徒ほど、勉強時間は特に意識していませんでした。中には「与えられた課題をこなすのは勉強と思っていないので、勉強時間は何時間でしたかと聞かれたら0時間と答えます」と言った生徒もいました。

 では一体、どのように勉強すればいいのでしょうか。

◆この夏は「自分の課題」を明確にしよう

 そもそも、成績の良い生徒が勉強時間をさほど気にしないのはなぜだと思いますか?

 それは彼らが、自分のできない問題を自分の力で解けるようになることに力点を置いて勉強をしているからです。「何時間やれば自力で解けるようになる」というのはありませんからね。

 そこでこの夏は、克服しなければならない課題を科目ごとに記述して机の前に貼るところから始めましょう。その課題に関することを勉強する時に意識することで、こだわりも出てくるでしょうし、達成感も生まれるはずです。

 自分の課題がわからない人は、過去の学校の成績を見返して、苦手な単元を洗い出してください。模試を受験していたら正答率などを見ることによって自分の課題が浮き彫りになります。

◆志望校に近づく夏にしよう!

 わからない問題は調べてもいいし誰かに聞いてもいいですが、解法をもう一度再現できるのか、解くためのポイントは何なのかなどを自分でアウトプットできるようにしなければ、どれだけ時間をこなしても点数につながりません。

 こうしたことを意識して、8~12時間の勉強時間をこなしていれば、きっと大丈夫です。課題を明確にクリアした分、2学期以降に成績アップが期待できます。

 高校は自分で選べます。その選んだ高校に自分が選ばれるかどうかが入試になります。合格しやすいという観点も重要かもしれませんが、私は自分の行きたいところに向けてどれだけ努力したのかの方が重要だと思います。

目の前に壁が出現するたびに避けていたのでは、この不確かな人生の中で切り盛りしていくだけの力がつくのでしょうか。少し高い壁に挑み、それを乗り越えていく努力を真剣にすれば、いろいろと次の課題も見えてくるものです。

 この夏休みがお子さまの志望校に近づく夏になることを願っております。

<執筆者>株式会社創造学園常務取締役・手嶋孝紀
 兵庫県を中心に100教室以上を展開する株式会社創造学園の総合進学塾エディック・創造学園にて教室責任者、学区責任者、研修、教務など、あらゆる部署を歴任し、教育現場から経営まで幅広い経験を積む。現在は常務取締役として教務のみならず会社全体を統括しながらも、「教務のトップである限り現場を離れない」という信念を貫いている。どれほど多忙でも教壇に立ち、生徒と共に学ぶ姿勢を崩さない。その現場での気づきが、新しい教材や指導法の開発へとつながり、創造学園全体の教育力向上を牽引している。

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