韓国・ソウル市内にある街、漢南洞(ハンナムドン)。
ある人は「東京の代官山みたいな雰囲気」と例える。別の人は「繁華街の明洞(ミョンドン)や聖水(ソンス)とは違って、落ち着いている」と説明する。また、別の人は言う。「ソウルで最も美しい丘」と。
この街に昨年5月、神戸生まれのセレクトショップ「ビショップ」(神戸市中央区)が海外初の店舗を構えた。広さ約465平方メートル。同社の全44店舗で最大の面積だ。
主な顧客は20~50代だが、若者や高齢者の姿も。森威(たけし)社長(46)は「幅広い世代にゆったりと買い物を楽しんでもらえているようです」と手応えを口にした。
創業者である叔父の後を継ぎ、2015年に社長に就任。海外出店は当初から描いていた。
バイヤーとして国内外を回り、新規ブランドの開拓を任されていた時、パリの展示会で韓国デザイナーの洋服に出会った。韓国の彫刻や建築を連想させる曲線美、伝統衣装を思わせるデザイン…。心に響いた。
社長に就任後、韓国で市場調査を重ねるうち、年々進んでいくファッションの多様化にも気づいた。欧州のハイブランドとも、安価な「プチプラ」とも違う。裾野の広がりを感じた。
大通りに街路樹が並ぶ漢南洞。高級住宅街もあり、坂が多い。各国の大使館が集積し、昔から外国人の居住地としても知られる。
「どこか神戸に似ている」。街の雰囲気にも背中を押された。
ハンナム店は国内と同様に、木材を基調にした温かみのある内装で、雑貨やキッチン用品も扱う。「神戸らしさ、ビショップらしさを大切にした」と、品ぞろえも国内とほとんど変わらない。
7~8年前から韓国人を雇い、本社などで働いてもらった。今年7月にも韓国から店員らを呼び寄せて研修を行った。神戸を肌で感じてもらうためだった。「社員と会社の価値観を共有することがブランド力につながる」と確信する。
同社は1994年設立。阪神・淡路大震災で被災者らに肌着などを提供した経験から、年齢や性別に縛られない定番商品を拡充してきた。街と歩みを重ねてきた自負がある。
近年、日本のコンビニスイーツや若者の装いが「日流(イルリュ)」として韓国人を魅了している。ただ、同社の路線は一線を画す。流行が日本以上にめまぐるしく変わるとされる隣国で、発信するのは普遍性だ。「まずは韓国で8~10店出したい」。
昨年4月に神戸空港が国際化し、国内店舗でも訪日客が増加。韓国や台湾に続き、東南アジアからも顕著という。2030年に予定される国際定期便の就航も見据える。
より身近になったアジアに舞台を広げ、「らしさ」を追求していく。(末永陽子)
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神戸空港への国際チャーター便就航から1年余り。日中関係悪化で中国路線が運休する一方、台湾、韓国便は好調が続く。兵庫と商圏が近づき、つながる企業の動きを追った。
























