元保護猫の「しょうた」くんは、今年11歳。Xユーザーのきよダブシャインさん(@kiyo_dub_shine)のお母さんが、雨に濡れながら道路をヨタヨタと歩いていた生後1カ月ほどのしょうたくんを見つけ、保護しました。
「母はまわりに母猫やきょうだい猫がいないか探しましたが見つからず、濡れて震えていたのでタオルに包んで早退し、帰宅しました。目ヤニが多く、体は痩せて骨も浮いているようでした。独りで放っておけば長くは生きられないと思い、家族全員で迎えることを決めました」
当時、家にはすでに元保護猫の「しんのすけ」くんがいました。相性を心配する気持ちはあったものの、小さなしょうたくんを助けたいという思いが家族の心を動かしました。
■悲しげに鳴く子猫ーー根気よくケアを続けて
保護したその足で動物病院に連れて行き、診察や駆虫を済ませました。しかし帰宅すると、しょうたくんは不安や空腹からか、ずっと「ニャーニャー」と鳴き続けたといいます。
「その声に気づいたしんのすけは、匂いを嗅いだり周りをうろうろしましたが、不快だったのか『シャーッ!』と威嚇しました。慌ててケージを購入し、別の部屋に隔離しました。プルプル震えていたしょうたにミルクやご飯を与えると、すごい勢いで食べて、そのまま僕の膝の上で寝てしまったんです。隅でじっと隠れるかと思いきや、人懐っこさを見せてくれて、驚きと同時に嬉しく感じました」
小さな命を守るために時間を割きながらも、先住猫への配慮も欠かしませんでした。
「しんのすけがストレスを感じないよう、いつも以上にスキンシップをとり、一緒に遊んだりしました。数日後には、しんのすけもしょうたの部屋の前をうろうろしたり、鳴いたりするようになり、どうにか共存できそうな雰囲気が出てきました」
少しずつ慣れてもらうため、ケージ越しの対面を重ねました。しょうたくんは人見知りも猫見知りもせず、落ち着いた様子を見せていたといいます。
■膝の上で眠った瞬間に生まれた“信頼”
保護した夜は落ち着かず鳴き続けていたしょうたくん。しかし翌日には変化が表れました。
「ご飯をあげた後に膝に乗せて撫でていると、そのまま眠ってしまうこともありました。比較的早くから馴染んでくれたと感じます。『おいで!』と手を差し出すと、手のひらに乗ってゴロゴロ言いながら座ったり、とても懐っこい子でした」
しょうたくんが加わったことで、母子の会話が増え、家庭の雰囲気までも変わっていきました。
「もともと会話はしんのすけのことが多かったのですが、しょうたを迎えてからは猫の話題が中心になりました。帰宅時間が早くなり、遠出も減って、時間があれば猫たちをかまうようにー。おもちゃや猫用ベッド、猫モチーフの洋服を買うことも増えました(笑)。仕事が忙しい時期でも『早く終わらせて、あの子たちに会いたい』と思え、以前より頑張れるようになりました。本当に、猫の力は不思議です」
その後、先住猫のしんのすけくんは15歳で虹の橋を渡りました。しょうたくんをよくかわいがってくれた、頼もしいお兄ちゃんでした。しんのすけくんへの思いを胸に、しょうたくんと家族は日々を過ごしていったのです。
■小柄なのに存在感たっぷり! 甘えん坊の11歳
しょうたくんの魅力について尋ねると、飼い主さんは「右手だけ縞模様になっている」と嬉しそうに話します。
「毛色は白と黒の2色ですが、右前脚だけ縞模様なんです。上から見ると墨汁を垂らしたような模様も。それもまた魅力のひとつですね」
また、飼い主さんによると、しょうたくんは「骨格が小さいのか子猫以上成猫未満のような体格」をしているところも愛らしさのひとつと語ります。
「顔も丸くてとてもかわいいです。玄関で出迎えてくれたり、後をついてきたり、来客にも人見知りせず膝に乗ったりと、とにかく甘えん坊で人懐っこい子です」
小柄な体に愛嬌たっぷりの性格。年齢を重ねた今も、家族にとって特別な存在であり続けています。
■ 「しょうたがいてくれる幸せ」をかみしめて
小さな子猫だったしょうたくんが、11年経った今も変わらず元気にそばにいる。その事実が、飼い主さんにとって何よりの喜びです。
「出会った時は本当に小さく、ちゃんと育てられるか不安でした。ですが大きな病気や怪我もなく元気に育ち、毎日、かわいらしい姿を見せてくれて癒やしを与えてくれています」
飼い主さんが今、しょうたくんへ伝えたい言葉とはーー
「しょうたがいない生活は考えられません。本当に大切な存在で、かけがえのない家族です。このままずっと元気で長生きしてほしい。いつもありがとう、これからもよろしくね」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)