草の生い茂る用水路に、ずぶ濡れでヘドロまみれの小さな体。震えながら必死に鳴き続けていた子猫は、助けを待つしかなかった…。
大阪の動物保護団体「ワンハート大阪」(@oneheartosaka)が保護した子猫「オレオくん」。Instagramの投稿には、危機一髪でつながった小さな命に、「ありがとう」「助かってよかった」と多くの声が寄せられています。
取材で明らかになったのは、過酷な状況から“生き延びた”子猫の姿と、それを支えた人々の奮闘でした。
■溝の中で動けず「ただ必死に鳴いていた」
保護メンバーがオレオくんを見つけたのは、田んぼ脇の排水溝。
「下半身が動かない状態で、逃げようともせず、ただ必死に鳴き叫んでいました」
体は冷え切り、ガタガタ震えていたといいます。数日前から現場付近で猫の家族を確認しており、調査中に発見されたとのことです。
■パニックで“手に噛みつく”ほどの恐怖 救出後には突然のけいれん
保護後、泥を落とし温めようとしたとき、オレオくんはパニックに。
「理事長の手をかみ、歯が食い込んで外れないほどでした」
知らない場所、知らない人。必死に生き抜いてきた恐怖が、そのまま体に残っていたのでしょう。
さらに翌日には突然のけいれん。動物病院での診察結果は、脊髄損傷などの大きなけがは確認されず、「飢餓と恐怖状態が続いた結果」と診断されました。寄生虫(コクシジウム・マンソン)も見つかり、過酷な生存環境がうかがえます。
■今は少しずつ「猫の社会」へ 控えめなゴロゴロも
現在のオレオくんは、少しずつ回復。
「大人猫さんが好きで、隅っこに寄り添って眠っています」
「まだ自分から甘えることはできませんが、撫でると控えめにゴロゴロします」
完全フリー生活になり、投薬から注射治療に切り替わってからは、隠れる時間も減り、仲間と遊ぶ姿も見られるように。
■里親募集「甘え方を知らないだけ。きっと甘えん坊になります」
ワンハート大阪は、オレオくんの未来の家族を募集しています。
「甘え方を知らないだけ。時間をかけて向き合えば、きっと甘えん坊になります」
「先住猫ちゃんがいるご家庭、ゆっくり見守ってくださるご家族に」
過酷な野良生活を生き抜き、人を信じてみようとしている小さな命。「これから20年、一緒に幸せに」と願いを託しています。
■保護現場の現実、「続けるための力が必要です」
同団体は無償のボランティアで活動。月1~2回のフリーマーケットが唯一の収入源で、医療費高騰で厳しい状況にあるといいます。
「愛護活動は継続が必要。マンパワーも資金も常に不足しています」
70匹の保護猫と年間約100匹の引き取り。命を救う現場の現実にも、支援が必要です。
■SNSでは「いのちがつながってよかった」の声
投稿には、次のようなコメントが寄せられています。
「本当に良かった」「ありがとう」
「すごい生命力」「幸せになってほしい」
「見つけてくれてありがとう。もう大丈夫だよ」
小さな命は、多くの人の祈りに包まれています。
■オレオくんの次のステップは「家族と出会うこと」
助けられた命は、次のステージへ。救われた日から始まる“幸せになるための猫生”。その第一歩を、共に歩む家族を待っています。
※記事内の情報は取材時点。猫のおかれた状況は日々変わる可能性があります。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
























