こちらの家庭は崩壊するでしょうか…?(横山了一さん提供)
こちらの家庭は崩壊するでしょうか…?(横山了一さん提供)

一見幸せそうに見える家庭にも、他人には見えない一面があるものです。漫画家の横山了一さんがInstagramに投稿した『どちらかの家庭が崩壊する漫画カラー再編集版 その1』では、理想的に見える夫と問題を抱えた夫の両極端な2つの家庭を描き、多くの反響を呼んでいます。

物語に登場するのは、まったくタイプの異なる2つの家庭。仕事ができて周囲からの信頼も厚い夫を持つ「薬師寺家」と、定職につけずパチンコに通う夫がいる「毒山家」です。この対照的な2家族の妻が出会い、ママ友になることで静かに物語が動き始めます。

薬師寺家の夫は、仕事ができて後輩からの信頼も厚い“理想の上司”タイプです。しかし、家では自分のお箸も探さないほどのマイペースぶりで、育児や家事にはほとんど関わりません。しかも義母もアポなしで訪ねてきては妻を困らせ、幸せそうな表向きとは裏腹に、妻の中には誰にも言えない疲れと孤独が積もっていきます。

一方の毒山家では、夫がなかなか定職につけずトラブルも起こしがち。それでも家では子どもの世話をよく手伝い、食事の準備も協力的に行います。また、姑もそんな息子を叱咤しながらも金銭面でサポートするなど、支え合っている様子が感じられるのでした。

そんな毎日を過ごしていた2人の家族に変化がおとずれます。薬師寺家は夫の仕事の多忙を理由に義母が家に入り浸るようになり、何かと口を出され妻の悩みは増え続けます。

そして毒山家では、夫の仕事が見つからないことで妻が義母の経営するスナックで働くことを決意。そしてなんと強面の夫は主夫となり、スーパーで不審がられながらも家事や育児をおこなうのでした。

読者からは「薬師寺家の夫みたいな外面だけいい人苦手やわ」「優しいふりした義母がイヤ!!」など、薬師寺家の人たちに注目した声が多くあがっています。そんな同作について、作者の横山了一さんに詳しく話を聞きました。

■「エリート夫とヤンキー夫の対比」から始まった物語

ー対照的な夫ですが、特に意識した点はありますか?

 はじめは「エリート夫」と「ヤンキー夫」の対比というくらいの軽い気持ちで描き始めました。でも描いているうちにどんどんキャラクターが肉付けされていき、物語が深まっていった感じです。

ーリアルな家庭の姿を描く上で、実体験や周囲のエピソードを参考にされた部分はありますか?

毒山夫の育児シーンは、僕の実体験がかなり元になっております。オムツ替えのリアリティなどは、かなり再現できているかなと思います。

ー笑える要素もたくさんありますが、構想段階でここに笑いの要素を入れようというのは決まっているのでしょうか?

もともとギャグ漫画家なので、シリアスになりすぎると自然とギャグを入れて少し場をなごませるクセがついているのかもしれませんね。

(海川 まこと/漫画収集家)