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覚悟の解散 代表提案へ NPO法人「1・17希望の灯り」

2013/11/03 14:40

 阪神・淡路大震災を機に発足した神戸市のNPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯(あか)り」(HANDS(ハンズ))の堀内正美代表理事(63)が17日、三宮・東遊園地で開く追悼行事で、同法人の解散をメンバーらに提案する。遺族らのよりどころとなり、災害の記憶継承に大きな役割を果たしてきた。震災から間もなく19年。なぜ今、解散を口にするのか。(上田勇紀)

 同法人は震災後、俳優の堀内さんらが設立したボランティア団体を前身に、2002年発足。東遊園地のガス灯「1・17希望の灯り」を管理し、東日本大震災の後は東北の被災地に分灯した。慰霊碑などを巡る震災モニュメントウォークの開催など活動は幅広い。

 だが、堀内さんは「震災の経験を語ると、聞いた人は涙し、共感してくれる。でも一緒に活動してくれる人はほとんどいない」と明かす。「災害で生き埋めになっても外に知らせられるよう、『笛を持ち歩くように』と伝えてきたが、どれだけの人が常備しているだろうか」とも。

 「あれだけの震災を経験した街で、19年がたつ現実だ。震災を知る私たちがいなくなれば、何も残らないのではないか」

 会員は多いが、実際に活動するのは遺族ら数人。月命日にあたる毎月17日前後、灯りの清掃に集まるのも同じ顔触れだ。東日本大震災の直後は物資を送る活動を展開し、参加者も増えたが、2年半が過ぎた今、続ける人はほとんどいない。

 高齢化も著しい。3月には経理を担当した専務理事の大下幸夫さんが73歳で死去。「広島の原爆のように語り継ぐためには、世代交代が必要。それが難しいなら、自然消滅を待つより解散したい」。17日にメンバーや参加者に問いかけ、今後の方針を決めるという。

 「当日、若い世代がいれば、どう思うかを聞いてみたい。受け継ぐ意志があるなら、時間をかけてバトンを渡したい」

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