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「慰霊碑に込められた思いを伝えたい」と話す上西勇さん=7日午後、神戸市役所(撮影・宮路博志)
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「慰霊碑に込められた思いを伝えたい」と話す上西勇さん=7日午後、神戸市役所(撮影・宮路博志)

 阪神・淡路大震災で父親を亡くし、今は自転車で全国の災害慰霊碑を巡る上西勇さん(86)=神戸市東灘区=が、17日に神戸・三宮の東遊園地で催される「震災19年追悼の集い」で遺族代表としてあいさつする。「慰霊碑には遺言のような意味もある」と、訪れた約千カ所で碑に刻まれた名前をノートに記してきた。その原点にある6千人を超す犠牲者一人一人に思いをはせ、言葉を紡ぐつもりだ。

 上西さんの父仁三郎さん=当時(95)=は東灘区の自宅で被災。避難生活の影響とみられる肺炎で1週間後に亡くなり、震災関連死と認められた。

 植木職人で頑固だった仁三郎さん。少ない口癖の一つが、「100歳まで生きる」だった。目標を奪われた父の悔しさ。それは、明かりのない冬空の下、夢や志を突然断ち切られたほかの犠牲者も同じだと思った。

 慰霊碑巡りは1999年ごろ、自宅近くから始め、関東大震災や伊勢湾台風、東日本大震災の被災地などに広げた。折り畳みの自転車を走らせ、碑文や犠牲者名をノートに刻み込む。「この方は子ども一人を残し、家族全員が亡くなった」。そんな話を住民から聞くこともある。それぞれの無念さが胸に迫る。

 NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り」(HANDS)の理事を務める中、記憶の風化を感じる。体験者が減れば、語り継ぐのも難しい。「だからこそ記録が大事」と上西さん。慰霊碑は災害の実態を知るきっかけにもなる-。それを伝えるのが、自分の責任だと感じている。(田中陽一)

2014/1/7
 

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