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カメラを肩に掛け、つどいの様子を見つめる野上祐梨子さん=17日午前、神戸市中央区加納町6(撮影・峰大二郎)
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カメラを肩に掛け、つどいの様子を見つめる野上祐梨子さん=17日午前、神戸市中央区加納町6(撮影・峰大二郎)
来場者にろうそくを手渡す宮崎里咲さん=17日午後、神戸市中央区加納町6(撮影・斎藤雅志)
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来場者にろうそくを手渡す宮崎里咲さん=17日午後、神戸市中央区加納町6(撮影・斎藤雅志)

 阪神・淡路大震災から19年がたった。あの日を記憶していない世代は、災害の経験や教訓をどう受け継いでいくのだろう。神戸・東遊園地で17日、2人の大学生に出会った。遺族の話を聞き、竹灯籠のろうそくを配った。「あの日のことはほとんど知らない。でも、この場所に立って、想像することができた」。伝えられる側から、伝える側へ。思いをつなぐ。20年目が始まる被災地で、その一歩を踏み出す。

 関西学院大3年の野上祐梨子(ゆりこ)さん(20)=三田市=は16日夜から、NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯(あか)り」が呼び掛けた交流会に参加した。震災で息子を失った遺族らから話を聞き、祈りの瞬間を迎えた。

 広島市出身で、高校では核兵器廃絶の署名運動をした。平和記念公園で協力を呼び掛けている時、被爆した高齢女性に言われた。

 「こんなことをやっても、私たちの気持ち、分かりゃせん」

 言葉も出なかった。「知らない世代が関わるべきではないのかな」と不安を覚えた。

 テレビでしか知らない阪神・淡路大震災に興味を持ったきっかけは、昨年4月の淡路島地震。初めて大きな揺れを体験した。その恐ろしさに、同じ早朝に起きた震災のことを知りたいと思った。

 野上さんは、進級論文のテーマを「阪神大震災の風化は防げるのか」とし、学生にアンケートをして執筆を進めた。震災の発生日時を答えられたのは128人中20人。風化を感じた。

 「1・17のつどい」には初めて参加した。日付が変わり、午前5時46分が近づく。カメラを手に、テントの外へ出た。竹灯籠の前で泣きだす人。寒さ。静寂。「19年前もきっと寒くて、つらかったんだろうな」。少し想像が膨らんだ。

 「震災を経験していない私には絶対に分からないこともある」と野上さん。「だからこそ参加して、体験者から話を聞きたい。論文を書き終えても、また来たい」

    ◇

 兵庫県立大3年の宮崎里咲(りさ)さん(21)=西宮市=は、竹灯籠やろうそくを準備するボランティア団体「神戸・市民交流会」の作業を17日早朝から手伝った。

 震災当時は2歳。家族に聞いたり、小学校の全校集会で学んだりして育った。両親と兄は芦屋市のマンションで激震に遭い、母は「飛行機が衝突したと思った」と話していた。

 「でも、実感はわかなかった。犠牲者の数を聞いても、ぴんとこなかった」

 大学では東日本大震災の被災地支援サークルに入り、市民交流会の活動を知って、気持ちが変わった。ボランティアの人柄の良さ、竹灯籠やろうそく作りの奥深さ。継続して加わるうち、震災が少しずつ身近になった。

 つどいには3年連続で参加した。ろうそくを手渡す来場者は、高齢者が多い。「もっと同年代に来てほしい。足を運ぶと気付くことがあるはず。それが風化を防ぐことにつながる」(上田勇紀)

2014/1/18
 

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