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現役を続けるスタインウェイ。「ゆったりと伸びのある音が魅力」と磻田さん=明石市二見町東二見(撮影・中西幸大)
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現役を続けるスタインウェイ。「ゆったりと伸びのある音が魅力」と磻田さん=明石市二見町東二見(撮影・中西幸大)
中澤宗幸さんが制作した「TSUNAMIバイオリン」。裏面には「奇跡の一本松」が描かれている(Classic for Japan提供)
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中澤宗幸さんが制作した「TSUNAMIバイオリン」。裏面には「奇跡の一本松」が描かれている(Classic for Japan提供)
阪神・淡路大震災で壊れたスタインウェイ(右側)。脚が折れ、天板も傷ついた(日本ピアノサービス提供)
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阪神・淡路大震災で壊れたスタインウェイ(右側)。脚が折れ、天板も傷ついた(日本ピアノサービス提供)

 阪神・淡路大震災で壊れた1908(明治41)年製のピアノが修復され、各地の演奏会で使われている。2014年最初の出番は、震災から19年の1月に神戸市中央区で開かれるコンサート。東日本大震災の倒壊家屋で作られたバイオリンと初めて共演する。(小川 晶)

 「日本ピアノサービス」(神戸市東灘区)が貸し出す“レンタル用のB型”。「外観も音色も震災前とほぼ同じ。被災したピアノだと誰も気付きません」。3代目の磻田(ばんだ)聖二さん(40)が話す。

 同社は「スタインウェイ&サンズ」(米国)が1970年代までに造った名器の修理、販売などを手掛ける。ショールーム兼工房の木造2階建て社屋が阪神・淡路で全壊。約20台あったピアノのほとんどが破損し、レンタルB型も、崩れた天井の直撃を受けた。

 「スタインウェイの魅力は、修復で音がよみがえるところ。回復力を信じよう」。米国の取引先に搬送し、壊れた部品を交換。96年夏ごろ、再建した同社に帰ってきたレンタルB型は、伸びのある豊かな音が戻っていた。

 貸し出しを再開し、今年3月、東日本の被災地をテーマにした巨大絵画展示の関連イベントに登場。企画したギャラリー主宰島田誠さん(71)が、磻田さんから由来を聞き、来年1月の第2弾公開でも開幕イベントで使うことにした。

 展示は「東北と神戸をつなぐ」がコンセプト。島田さんは、東日本の津波で倒壊した家屋の建材から、朝来市出身の楽器修復家中澤宗幸さん(73)が制作したバイオリンの起用を決めた。「“再生”という共通のキーワードを持つ二つの楽器に、震災19年を迎える神戸で共演してほしい」と思ったからだ。

 バイオリンは、仙台市のバイオリニスト岡村映武(てるたけ)さん(37)が弾き、レンタルB型は神戸市北区のピアニスト井手智佳子さん(33)が奏でる。井手さんは「楽器の歴史は音のにじみ方に表れる。20年が近づく阪神・淡路と復興途上の東日本。二つの被災地の未来につながるような演奏会にしたい」と話す。

 コンサートは1月5日午後3時から、巨大絵画が展示されるデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO=きいと)で。入場無料。ギャラリー島田TEL078・262・8058

2013/12/26
 

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